「農民」記事データベース20140310-1108-12

公開シンポ
「非常食から災害食へ」


災害時に本当に役立つ食事は…
普段と同じ品質が必要 災害食

画像  公開シンポジウム「非常食から災害食へ」が2月22日、都内で開かれました。主催は、食生活ジャーナリストの会。

 日本災害食学会の別府茂理事が基調講演を行いました。過去の大地震による被害を振り返り、「災害に役立つ食事とは、屋外や避難所などそれぞれの場面に応じたものであるべきだ」と述べました。

 また、備蓄性があり、種類が限定され、普段の食品との品質差があるのが非常食であるのに対し、災害食は、災害時に役立つものであり、被災者のニーズに合い、普段と同じ品質を保ったものと説明しました。

 災害食の条件として、普段から食べていて、ライフライン途絶時も食べることができ、常温で保管し、賞味期限の長さにこだわらないものだと指摘しました。

 さらに、日ごろから災害食を作ったり、食べたりする訓練も必要だと述べ、「家庭での食料品は、最低でも3日分、できれば1週間程度を備蓄することが望まれる」とし、最後に「災害は備えた分だけ憂いなし」と結びました。

 パネルディスカッションでは、別府さんのほか、東京都板橋区の危機管理室防災計画推進課の沼俊一さん、食生活ジャーナリストの会副代表幹事の平川あずささんが討論しました。

 板橋区の沼さんは、住民に一番近い立場の自治体としての防災のあり方を報告。地震被害の区の想定を示し、避難所として、小中学校などを生活スペースとして提供する準備を行い、食料のほか日用品など避難所での備蓄品の一覧を示しました。

 また、従来の乾パンやクラッカーに代わって、アルファ化米などの優れた備蓄食料を紹介しました。

 最後に、避難生活の厳しさを和らげるために、自助、共助、公助の必要性を強調しました。

 平川さんは、東日本大震災でみてきた被災地の食事の現状から考える災害食のあり方を語りました。

 被災時に最低限摂取したいものとして(1)エネルギー(2)水分(3)少しのたんぱく質が求められ、「普段からサバイバル料理(災害食)を食べるトレーニングやプチ断食なども有効」と述べました。

 さらに、被災地を取材してきて、(1)人はショック状態のとき食欲が落ち、普段から食べ慣れているものは食べやすい(2)排せつができない環境は食欲を減退させる(3)人と人のつながりが感じられる生活から始める―などの経験と教訓を報告しました。

 その後、会場の参加者とともに討論を行い、あるべき非常食の考え方について、交流しました。

(新聞「農民」2014.3.10付)
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2014年3月

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