TPP
「重要5品目全部守る」はムリ
アメリカに譲歩重ねる甘利大臣
撤退の声さらに大きく
関連/官邸前アクション TPP撤退を強く訴え
各地で豪雪による甚大な被害が広がるなか、安倍内閣はTPP交渉で譲歩する態度を繰り返し表明しています。2月22日からシンガポールでTPP閣僚会合が始まりましたが、安倍政権は、米や麦、牛肉・豚肉、乳製品、砂糖などの「重要5品目」586項目のうち半分近い加工品の自由化に踏み込む「自由化率95%」や、アメリカからの主食米輸入の拡大を提案するなど譲歩を重ね、「聖域」を明け渡そうとしています。
交渉に前のめりな日本政府の姿勢は、この間の甘利TPP担当相の発言にあらわれています。
甘利担当相は、アメリカ通商代表部(USTR)のフロマン代表との会談直後、日経新聞(16日付)とのインタビューに答えて、次のように語りました。
「日本にとってコメがどういう位置づけか米国は最初からわかっている。だが日本は何もしなくていいわけではない」「牛肉・豚肉などはかなり強く関税撤廃を求めてきている。5項目の関税(586)品目を全部守れなんていうのは無理だ」
つまり、米と砂糖以外の「牛肉・豚肉」「乳製品」などの関税撤廃や引き下げを容認するとともに、米でも加工品の関税撤廃などの譲歩を重ねる方針です。
さらに、18日の閣議後の会見で「5品目のタリフライン(関税率)一つ残らず微動だにしないということでは交渉にならない」と述べました。
アメリカは、日本に対して重要品目を含む農産物関税の引き下げ譲歩を迫る強硬な姿勢を崩していません。
USTRは声明で「TPPは長年の課題となってきた日本市場の障壁を取り除く重要な機会であり、自動車や農業分野で明確な成果をあげることが最優先課題だ」(15日)と述べています。
同時に、日本側がアメリカに再三にわたって交渉妥結のために譲歩を求めたにもかかわらず、アメリカ側は譲歩する姿勢を一切示していません。
これは、「交渉のこう着状況を日米が連携して打開する」とする安倍内閣が農産品5品目を守るとした公約や国会決議を無視して“譲歩”する姿勢を示したことにアメリカがつけ込み、“一つ譲れば全部譲れ”とばかりに強硬姿勢に打って出ているからです。
22日から始まった交渉は予断を許しませんが、「安倍政権は、公約と国会決議を守れ」「TPP交渉から撤退せよ」の声をさらに強める必要があります。
官邸前アクション
TPP撤退を強く訴え
「ストップTPP!! 官邸前アクション」は拡大版行動を2月18日、行い、約300人が集まりました。甘利大臣などの発言をうけ、広範な参加者が集まりました。
主婦連合会の山根香織会長、TPP参加交渉からの即時脱退を求める大学教員の会の醍醐聰さん(東京大学名誉教授)、TPPに反対する弁護士ネットワークの中野和子弁護士、拓殖大学准教授の関良基さんらが交渉の中身を批判し、交渉からの撤退を求めました。
農業・農協問題研究所の三國英實理事長は「安保条約日米経済協定2条が今の流れの原因。79%あった食料自給率が39%にまで下がった。今の5品目が崩されてしまえば日本の農業は崩壊してしまう」と訴えました。
農民連の齋藤敏之常任委員も参加し、「『聖域5品目を守る』という選挙公約や国会決議無視して、ごまかしを重ねている」と述べました。
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寸劇の新バージョンもとび出しました |
参加者からも活発なスピーチがあり、日本共産党の紙智子、吉良よし子両参院議員もあいさつしました。
(新聞「農民」2014.3.3付)
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