「農民」記事データベース20140224-1106-02

輸入品の危険性さらに大きく
食の安全・安心が脅かされる

TPP
“いま考えよう”シンポ


千葉JA、連合、生協、同友会、
連合婦人会など15団体が主催

画像  千葉市の京葉銀行文化プラザ音楽ホールで2月10日、シンポジウム「いまこそ考えよう…食の安全・安心について―押し寄せる輸入食品を前に―」が開かれ、約350人が参加しました。主催は、JA千葉中央会が事務局を務め、連合千葉や生協県連、経済同友会や連合婦人会など15団体で構成する「食料・農業・環境を考える千葉県民フォーラム」。

 一本化・簡素化

 主催者あいさつで、JA千葉中央会の林重利会長は、「異常気象による食糧生産の不安定さが増しているもとで、食料自給率39%の日本が、秘密裏にTPP締結に向けた議論を展開している。万が一TPPが締結されれば、食の安全安心が大きく脅かされる」と述べました。

 基調講演では、科学ジャーナリストの渡辺雄二さんが、輸入食品に使われる添加物や残留農薬、遺伝子組み換え食品の危険性を、資料を使いながら報告しました。

 司会で、遺伝子いらない食品いらない!キャンペーン代表の天笠啓祐さんは、アメリカ通商代表部が、かつてかんきつ類の輸出のため、イマザリル、OPP、TBZの3種類の農薬を、無理やり食品添加物として認めさせ、さらに「TPP交渉を前に、日本で別々に行っている農薬と食品添加物の安全性評価の“一本化・簡素化”を要求している」と強調。

 日本政府も、2012年3月に「食品添加物指定の簡素化・迅速化措置」を決め、世界的に認められている添加物は認めていくことを決定したことを紹介し、「TPP参加に向けた手続の一つだ」と批判しました。

 一企業では無理

 JA山武の販売開発部次長・今井久光さんは、安全・安心を考える上で大事なのは、最終的に「人」の育成だと述べ、生産工程管理資格取得者678人が、単に記録簿をチェックするだけではなく「五人組制度」のように生産者同士でリスクの洗い出しや安全確保を話し合っていることを紹介しました。

 ヤマサ醤油労働組合長の柳堀忠さんは、フード連合に結集する食品関連産業に働く労働者として、TPPには反対を表明していると述べ、マルハ・ニチロの冷凍食品事件について、監視カメラなどハード面の管理体制だけでなく、「人」の問題が大事だと思うと発言しました。

 さらに、正規・非正規、組合員・非組合員などの枠を超えて、安全確保のためのコミュニケーションを取りながらも、輸入食品との価格競争から、コストカットせざるをえない経営が強いられる実情を示し、「一労働組合、一企業での取り組みでは無理。業界あげて、行政や政府に意見をあげなければ問題は解決しない」と述べました。

 最後に渡辺さんは、「TPPに対して、農業関係者の多くは反対しているが、国民の多くはよくわからないのが現状だと思う。もっと知らせる取り組みの強化が必要だ」と訴えました。

(農民連常任委員 齋藤敏之)

(新聞「農民」2014.2.24付)
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2014年2月

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