「農民」記事データベース20140210-1104-01

伊豆大島土砂災害

心温まるご支援ありがとうございます

お礼にかえて
東京農民連会員
時得(ときえ)孝良(たかよし)さん


要望を聞き救援金を被災者へ
“オール大島”で復興・復旧に全力

 昨年10月に起きた東京・伊豆大島の土砂災害に際して、全国のみなさんから物心両面にわたって心温まるご支援をいただきました。

 救援募金は、責任をもって被災者の救援活動のために使わせていただいています。多額の支援募金、励ましのお便りをいただいた上に、多くの方にボランティアに来ていただきました。つらい日々でしたが、みなさんに支えられ、これまで活動することができました。心からお礼申し上げます。

 だれ1人として想像しなかった

 三原山の斜面大崩落という思いもよらない災害に見舞われた伊豆大島は、この2カ月余、「笑顔の消えた島」になってしまいました。36人もの犠牲者を出した上に、いまだに行方不明者3人が土砂とがれきの下に埋まったままです。家屋の被害は、全壊71を含め、385カ所に及びました。

 この大規模土砂災害は、私たち島人の「雨は、大島の豊かな自然をはぐくみ、人々のくらしを支える幸いを運び、災いをもたらさない」という「安全神話」を根底から覆しました。

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豪雨でハウスも倒壊しました

 大島の火山地質を知り尽くす伊藤和明先生―伊豆大島火山博物館の名誉館長であり、島民が最も信頼している学者の一人―は次のように述べています。

 「大島町が避難勧告や指示を出さなかったことに批判が集まっていますが、それにしても島のみなさんはもとより、私たち専門家も想定できなかった災害でした。今回の大規模土砂災害は、記録的豪雨が火山堆積物にしみ込む限界量を超えて、700年前にできた溶岩流を滑り台のようにして急傾斜を高速度に流れ落ち、なぎ倒された流木が破壊力を増して引き起こされた『記録的豪雨と火山の複合災害』です」

 住民の誰一人として想像しなかった三原山の大崩落でした。

 被災者を懸命に探す活動すすめ

 私は、日本共産党の町議を務めており、党として対策本部を設置して、「被災者に寄り添ったきめ細かい支援」を合言葉に取り組んできました。縁故避難者がどこに身を寄せているのか手分けして探す活動を進め、約30世帯を特定することができました。

 そして縁故避難者を含めて約50人から要望を聞き取り、救援物資の配布などを行ってきました。島外のボランティアのみなさんの宿泊施設を確保し、社会福祉協議会のセンターでの活動に協力してもらいました。

 私は、町議会の一般質問で、被災者・避難者の声や要望を紹介しながら、「被災者に寄り添い、きめ細かな支援をすること」「被災が生活・生業・復興に足が踏み出せるよう、大災害の科学的・総合的な検証をすること」を求め、18項目にわたる提案を行いました。

 最後に「スクラムを組んで、全被災者の生活再建と全国に誇れる復興をめざしましょう」と呼びかけました。

 犠牲者の無念さ思いを背負って

 今回の大災害と、観光と火山の島にとって重要なジオパークの全国集会(島根県)への川島理史町長の出張とが不運にも重なってしまいました。これをとらえ、マスコミから行政側の対応に批判が集中しました。

 私たちは「災害時の対応の不適切さによる行政側の責任もあるが、今は町長を先頭に行方不明者の捜索・救援活動、被災者支援に『オール大島』で全力をつくそう」と呼びかけて奮闘してきました。

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仮設住宅の被災者に救援物資を届ける時得さん(左)

 川島町長は、犠牲になられた方々の無念さ、思いを背負って、被災者の生活支援を最優先に復旧・復興に懸命にがんばっています。町は、「大島町土砂災害復興基本方針」を昨年に策定。その柱は、(1)被災者の生活再建支援(2)地域基盤、インフラの復旧(3)農漁業・観光の復興(4)防災まちづくりの強化の4本です。

 さらに、この基本方針に基づき、「大島町復興計画(仮称)」策定のための組織や策定までの流れ(9月末に完成)についての「案」が議会に提示されました。

 復興の足音と笑顔に触れて!

 昨年12月から建設が始まった応急仮設住宅も1月25日から入居が始まっています。大量のがれきも土砂を除き都内への搬出が始まっています。町に寄せられた義援金は、町長の「指定の義援金を除き、すべて被災者に配分する」方針のもと、きめ細かな配分が第2次まで行われています。

 課題が山積ですが、私たちは全国に誇れる被災者生活再建・復興に町と力を合わせ、新たな決意で取り組みます。みなさんの引き続くご支援をお願いするとともに、多くのみなさんにぜひ大島を訪れてほしいと願っています。

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今年も華やかに「椿まつり」が始まりました

 恒例の椿(つばき)まつりも始まりました(3月23日まで)。島にいらしたみなさんに、復興の足音と島人の笑顔に触れていただくことができるよう、私たちはがんばります。

(新聞「農民」2014.2.10付)
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2014年2月

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