シリーズ
食品表示を考える
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主婦連事務局長 佐野真理子
あまりにも遅れた対応
有名レストランなどの偽装メニュー表示事件に続き、アクリフーズ製冷凍食品の農薬混入問題、さらに敷島製パンの有害物質検出による大回収事故など、年初から深刻な食品問題が続発しています。安全性確保や適正表示へ向けた課題への対応が今年も消費者問題の中心に位置づけられます。
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年末年始に起きた農薬・有害物質混入事件を報道する各紙 |
メニュー表示については、表示と異なる食材を使用していた事業者が23団体307社にも上っていることがわかりました。しかし、消費者庁は昨年12月、そのうち3社を行政処分にしただけです。全国規模の膨大な違反に対し、法執行が間に合わないのが実情です。
そこで消費者庁は、都道府県に違反事業者に対する措置命令権などの行政処分権限を付与することを決め、景品表示法改正案を通常国会に提出することを予定しています。
また、違反表示食品の販売によって不当利得が事業者にとどまっていることに対し、違反行為の抑制へ向けた課徴金制度導入も検討されることになりました。すでに消費者委員会に検討が諮問されています。これらの措置はすべて私たち消費者団体が長年要求してきたことです。遅れた対応と思わざるをえません。
アクリフーズ農薬混入問題では、PB(プライベート)食品をめぐる製造所固有記号の問題が報道されています。同社工場で製造したのにその名称が表示されず、製造所固有記号だけが記載されているため、消費者にはどこで製造したのか判別できないのです。この制度改善も消費者団体が長年要求してきたこと。これもあまりに遅れた措置と考えます。
消費者目線からの早急な対応を求めます。
(つづく)
(月1回掲載)
(新聞「農民」2014.2.3付)
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