「農民」記事データベース20140120-1101-05

自由貿易に立ち向かう共同づくりへ

WTOバリ抗議行動をふりかえって

農民連も参加、交流・連帯深める


 日程を延長して強引に合意へ

 インドネシア・バリ島で2013年12月3日から7日まで開かれたWTO(世界貿易機関)閣僚会議は、日程を延長して強引に合意までこぎつけました。一方で、国際的農民組織ビア・カンペシーナは、WTOやTPP、FTA(自由貿易協定)とたたかう方針を確認し、WTOに抗議するさまざまなアクションを展開。農民連も代表6人が1日から6日までビア・カンペシーナの行動に合流しました。

 閣僚会議自体は、ゆきづまった交渉を何とか生き返らせようと、多国籍企業の活動を自由にさせる貿易円滑化などで合意する一方、民衆や途上国の食糧への権利は否定したままです。

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ビア・カンペシーナ国際委員会責任者のエリザベス・ムポフさん(ジンバブエ、右から2人目)を囲んで。左から大木さん、齋藤さん、真嶋さん

 WTOに代わる対案を提起する

 ビア・カンペシーナは、閣僚会議に対抗して、会議場「内外」で活動を繰り広げました。「外」では、バリ島北部にあるヨワナ・マンダラ・スタジアムを拠点に集会・分科会が開かれました。2日の「経済正義会議」では、全体会と分科会が行われ、参加者全員が議論に加わり決議文書を練り上げました。

 そこでは、WTOに代わる対案を提起。「自由貿易は多国籍企業をあらゆる規制から解放し、自由に移動し利益を増大させる」と批判し「われわれの挑戦課題は、人類の公平性、自然とのバランスをめざす社会の樹立である」とする「経済正義宣言」を採択しました。

 会議場内を歩くパフォーマンス

 今回の行動で、ビア・カンペシーナは、インドネシアのNGO連合組織「ゲラク・ラワン」やアジア各国のNGO連合組織「SMAA(もう一つのアジアのための社会運動)」とも連帯して行動を展開しました。

 会議場内では、インドのNGO代表が、閣僚会議の開会式を終えたインドの政府関係者に「インドは妥協するな」とパネルを示して訴えたほか、SMAAが、2003年WTO閣僚会議(メキシコ・カンクン)で自ら命を絶った韓国の農民を偲(しの)んで会議場内を無言で歩くパフォーマンスを決行。マスコミや会議参加者の注目を浴びました。

 3日と6日には、州政府近くの公園で、NGO、農民・漁民団体、女性、青年・学生らがデモ行進をしました。

 TPP・原発の反対運動で決意

 TPPをめぐって、農民連は、会議場内外で発言し、その弊害や国内での運動の盛り上がりをアピールしました。真嶋良孝副会長は、会議場内で開かれた記者会見「WTOの破たんと経済正義を求める民衆からの対案」(4日)、フォーラム「自由貿易の地政学―TPP・FTAとWTOの結びつき」(5日)で「自由貿易と日本国民の利益は相いれない」と述べ、WTO・FTA・TPPに反対する国際ネットワークの構築を呼びかけました。

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TPPの問題点を訴える真嶋副会長(左から4人目)=12月4日、WTO閣僚会議場

 齋藤敏之常任委員は、「経済正義会議」の「貿易と対案」分科会で発言し、温暖化、飢餓を防ぐためにも地産地消の必要性を訴えました。千葉県農民連の大木傳一郎会長は、スタジアムで開かれた「TPPを含む新世代FTAとのたたかい」分科会で、日本農業に深刻な打撃を与えるTPPと原発に反対する運動を日本でも強める決意を語りました。

 今後の連携の基礎を築けた

 こうした行動のなかで、WTO、TPPをはじめ、TTIP(環大西洋貿易投資パートナーシップ)、RCEP(ASEAN+日中韓、オーストラリア、ニュージーランド、インド)などの巨大FTAに対してネットワークをつくり、自由貿易に立ち向かう運動を構築する重要性が確認されました。

 さらに、各国のNGO活動家や理論家とも交流が深まり、TPP反対など今後の国際連携の基礎を築いたことも大きな成果でした。

(新聞「農民」2014.1.20付)
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2014年1月

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