「農民」記事データベース20131209-1097-16

さとうきびは沖縄の宝

南城市玉城さとうきび生産組合長
沖縄県農民連玉城農民組合役員
玉城健さん

 台風や干ばつで沖縄県のさとうきび生産が重大事態になっています。南城市玉城(たまぐすく)さとうきび生産組合長で沖縄県農民連玉城農民組合役員の玉城(たまき)健(つよし)さんは「さとうきびは沖縄の宝」と、振興策の実施に向けて奔走しています。玉城さんに手記を寄せてもらいました。


生産農家ピンチ

 生産回復に向け取り組み強化も

 沖縄県は台風、干ばつの常襲地帯という気象条件のもと、長年、小規模・零細のさとうきび生産と製糖業が営まれており、生産農家や地域社会・経済を支える重要な役割を担っています。

台風・病害虫の被害で
記録的な減産に

 これまで国や県の政策支援のもとで、さとうきび生産農家をはじめ関係機関が一体となってさとうきび生産振興に取り組んできています。しかし、2011、12年度、さとうきびは相次ぐ台風襲来に加え、イネヨトウ等の病害虫の被害により記録的な減産になり、今期13年産についても6、7月の大干ばつの影響で品質及び反収の低下が心配され、農家経営は極めて深刻な状況です。

夏の大干ばつの影響で
品質・反収の低下 糖度の落ち込みも

 こうして、さとうきびの生産回復・増産に向けた取り組みを支援するため、12年度補正予算で「さとうきび増産基金」(本県配分額15億2000万円)の予算が措置されました。今期は2年連続の不作からの生産回復に向けて増産基金事業を活用し、各地で取り組みを強化しているものの、記録的な干ばつ、台風被害等、自然現象により依然厳しい状況です。

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一面に広がるさとうきび畑

 特別補償制度の実施を求める声

 さとうきび価格の農家手取り額は甘味資源作物交付金トン当たり1万6000円に原料代、約5000円(その年の砂糖の世界相場で変わる)を加えた価格で、およそ2万1000円です。その価格は基準糖度帯13・2〜14・4度での価格でその基準帯から0・1度上下することで100円上下します。糖度が1度変われば1000円違います。

 昨年は台風の影響で糖度が上がらずトン当たり1万6000円まで下がった農家もあり、糖度が落ち込んだときの特別補償制度の実施を求める声も多くの農家から上がっています。

生産振興総合対策など8項目かかげ
県農業代表者集会開く

 11月20日、豊見城市の中央公民館でTPP交渉対策・さとうきび政策確立・沖縄県農業代表者集会が開催され、13年度さとうきび価格・政策運動方針が採択されました。

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さとうきびの振興策を求めて開いた集会=11月20日、豊見城市

 重点要請項目は(1)TPP交渉の対応について(2)糖価調整制度の堅持と財源確保について (3)甘味資源作物交付金水準の引き上げについて (4)甘しゃ糖企業の経営安定対策について(5)さとうきび増産基金事業の継続について(6)さとうきび生産振興総合対策について(7)畑作物共済の充実・強化について(8)「日本型直接支払制度」における多面的機能支払いの創設と予算措置について――の8項目です。特にTPP交渉については農産物5品目などの聖域が確保できないと判断した場合には、即刻交渉から脱退すること強く要請することになりました。

 県選出の議員に要請へ、上京団

 大会終了後、沖縄県さとうきび対策本部・JAおきなわ青壮年女性組織・生産者・事務局等、28人の要請団で上京しました。

 21日には、甘味資源作物JA主産道県代表者集会(北海道・鹿児島・沖縄)を開催し、農林水産戦略調査会への要請、また沖縄県要請団は沖縄県選出の国会議員でつくる、うりずんの会とかけはしの会への要請を行い、その後、農水省の小里泰弘農水大臣政務官への要請活動で締めくくりました。

(新聞「農民」2013.12.9付)
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2013年12月

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