「農民」記事データベース20131209-1097-12

シリーズ
食品表示を考える
(10)

主婦連事務局長
佐野真理子


メニュー偽装、きちんと教訓化を

 日本の「おもてなし」が一挙に崩れました。有名ホテル、旅館、レストラン、老舗の百貨店などがメニューとは異なる食材を使っていたのです。消費者の怒りは収まりません。

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謝罪するホテルやレストランの経営者

 パック入りのジュースを「フレッシュジュース」と表示していたホテル、牛脂が注入された成形肉を「ステーキ」と称していた百貨店、冷凍うどんを有名なブランドうどんと表示していたレストラン、ブラックタイガーを車エビ、伊勢エビとして使っていた例も散見され、それら虚偽表示は野菜、カニにも及んでいました。

 一番の問題は、これら不当な表示が数年間放置され、監視・チェックもなく、ずっと改善されなかったことです。事業者は「エビにはエビのサイズで名称を決める食品業界内の慣習があった」「結果的に虚偽のメニュー表示となった」などの弁解を繰り返しました。

 誰が見てもインチキな表示が、業界内では正しい表示となり、それを誰もが気づかなかったという説明です。納得できるでしょうか。メニューに「ステーキ」と記載し、実際は加工肉だった場合、食材調達費は明らかに安価となります。その販売額は一店舗あたり数百品目、数億円に達するとの報道もありました。

 このようにして得た不当利得は現在も事業者に留まっています。主婦連合会は業界と政府に次の点を要求しました。

 事業者は消費者の信頼を取り戻すために真の原因究明をし、その結果を消費者に公表すること。行政は、中食・外食をきちんと規制し、監視・処分機能を強化させること、さらに、不当利得を吐き出させる新たな制度設計を検討すること。

 これら抜本策を求めています。

(つづく)
(月1回掲載)

(新聞「農民」2013.12.9付)
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2013年12月

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