“協同組合のこれからを考える”
TPP・安倍暴走農政と対決を
農農研
農業・農協問題研究所(農農研)は11月14日、都内で協同組合のこれからを考えるシンポジウム「TPP参加、規制改革のなかでなにが問われているのか」を開きました。
地域から協同を
農農研の三国英実理事長(広島大学名誉教授)が開会あいさつを行い、「TPPや農政改革など新しい動きが進んでいるなか、地域からの新たな協同を構築していく必要がある」と問題提起しました。
農協潰しと一体
日本大学の高橋巌教授がコーディネーターを務め、3人のパネリストが発言しました。
大妻女子大学の田代洋一教授は、「TPP・アベノミクス農政と農協―攻撃と課題―」のテーマで報告しました。
政府による“戦後農政の総決算”ともいうべきTPP、アベノミクス農政に対し、この秋のたたかいの重要性を強調し、「TPP、生産調整廃止による米価暴落・交付金カットで離農や農村の荒廃が進めば、農協の組合員・事業基盤は崩壊する。農業・農協陣営は、TPP・生産調整廃止・農協つぶしが一体であることを見抜き、TPPを軸に国民的課題としてたたかうことが必要だ」と述べました。
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協同組合のこれからについて討論するパネリストの各氏 |
共済でなくなる
「TPPを先取りする共済の危機」について講演した青山学院大学の本間照光教授は、「TPPへの参加で、保険や共済をめぐる大きな動きが起きている」と指摘。アメリカの保険大手アフラックのがん保険を簡易郵便局を除く全国2万の郵便局と79のかんぽ生命保険直営店で販売することになったことを紹介しました。
さらに、JA共済連と東京海上日動火災の提携が「共済事業と保険事業という垣根を越えた包括的な業務提携」といわれていることに対して、「これは共済自ら共済でなくなる道へ踏み出すものだ」と述べ、「人間の組織がなくなり、市場原理のみが支配するようになったとき、日本社会はどうなるのか」と警鐘を鳴らしました。
環境保全型農業
ゆうき青森農業協同組合の大関政敏代表理事組合長は「今後も地域で輝き続けるJAを目指す」と題して発言。地域の特性を生かした「ゆうきの里ブランド」の確立をめざして、地域資源を利用した耕畜連携による環境
保全型農業「有機の里づくり」構想を立ち上げたことを紹介しました。
今後、なすべきこととして、「地域で生産される農産物がブランド品として多くの消費者に愛され、食べ続けられていくよう、地域のみなさんと一緒に取り組んでいきたい」と語りました。
最後に、報告者3人が会場からの質問に答えながら、TPPやアベノミクス農政とたたかっていく決意を会場の参加者とともに固め合いました。
(新聞「農民」2013.12.9付)
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