「農民」記事データベース20131125-1095-01

島根県から出展
ウッドボイラー

“家庭用に利用したのは私が初めて”
農民連会長の長谷川敏郎さん

関連/ふるさと産直みほん市

 「ふるさと産直みほん市」には、薪などの燃焼物の効率的な焼却とあわせて、熱を再利用できるウッドボイラーが出展されます。機材を自ら運んで参加する島根県農民連の長谷川敏郎会長のコメントを紹介します。


部屋の空気汚さない
低温でも室内暖かく
丸太そのまま燃やす
もちろん燃料費は無料

 中国山地で水稲と繁殖和牛の経営をしています。1991年の牛肉自由化当時、島根県の旧瑞穂町(現邑南町)で100戸以上あった和牛農家も一気に減少し10戸になりました。牛にあぜ草やワラを与え堆肥を田に戻す有畜複合経営の減少は地域資源の未利用、飼料やエネルギーの海外依存度を高めます。

 灯油もガスもやめ

 家の裏に6ヘクタールの里山(私有林)があり造林やシイタケ原木やタケノコ取りだけでなく木材をエネルギー源にと思案してきました。

 30年前に薪を燃やすボイラーの試作に失敗し、20年前にボイラーや焼却炉の製造、販売を手がけるATO(エーテーオー)社(本社・名古屋市)の「ウッドボイラー」の存在を知り、11年前のリフォーム時にやっと導入できました。

 当時、風呂は薪でたき、暖房は1カ月にドラム缶1本を使用し、1万円(現在なら2万円)の支出でした。

 いまでは米乾燥機用に少し灯油を買うだけ。プロパンガスもやめ、少しばかりの電気代で家族5人があたたか床暖房のもとに暮らしています。

 介護用の大きな湯船のお風呂・3カ所の給湯・18帖のLDKの床暖房・15帖の事務所暖房を薪や廃材でまかない、燃料費は無料です。

画像
ウッドボイラーとともに写る長谷川会長

 子どもたち大喜び

 ウッドボイラーのお気に入りは、部屋の空気が汚れず、低い室温で足元から暖かく身体が疲れません。高い天井でも大丈夫(暖気が上昇しない)、1メートル近くの丸太をそのまま燃やします。(薪割りせず、生木でも利用できます)

 旧瑞穂町は真冬に最低気温がマイナス10度近くになり積雪も50センチになります。島根県で一番寒いと有名です。しかし、24時間タイマーで早朝4時から床暖房が運転。朝から温かい部屋です。朝食を作る妻も子どもたちも大喜びです。

 暖かい寝床から起きて冷たい服に着替える苦労を知りません。子どもにとってはちょっと贅沢(ぜいたく)すぎますが、雪道を3・2キロ歩いて通学ですから大目にみています。

 町内に30戸余普及

 気になるウッドボイラーの価格や床暖房などの施工費用は、初期投資とランニングコストの全体で考えることが大切です。私は7年で初期投資を回収できた計算です。

 町内でこのボイラーを家庭用に設置したのは私が初めて。話題を呼び口コミで現在30戸あまりに普及しています。また農業法人が菌床シイタケに活用しています。

 農民連は、地球温暖化対策や「即時原発ゼロ」を求めています。太陽光や風力発電など自然エネルギーを普及するとともに、農山村に住む私たち自らが化石燃料に依存する生活を見直さなければなりません。木質資源はカーボンニュートラルの上に豊富です。地元の森林活用は地域経済の活性化につながります。

 「米つくってメシ食えねぇ」といえども、「かまどには火気(ほけ)吹き立てず」(山上憶良)とはいわせない心意気です。農家の屋根からいつも煙の出ている豊かさを取り戻しましょう。


ふるさと産直みほん市
11月27日(水)午前11時〜午後5時
東京都大田区 産業プラザ大展示ホール
(京急蒲田駅東口から徒歩約3分)

(新聞「農民」2013.11.25付)
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2013年11月

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