「農民」記事データベース20131118-1094-06

来年秋に韓国でMOP7

GM生物規制のルール作り議論


 生物多様性の保全などについて議論する国際会議「生物多様性条約締約国会議/カルタヘナ議定書締約国会議」(CBD―COP/MOP)が2014年秋に韓国で開催されます。7回目となるカルタヘナ議定書締約国会議(MOP7)では、遺伝子組み換え(GM)生物を規制するためのルールづくりが議論される予定です。

開催1年前シンポ開く

 食と農から生物多様性を考える市民ネットワーク(食農市民ネット)は10月19日に都内で、MOP7開催1年前を記念してシンポジウムを開きました。

 今回は、MOP7が開かれる韓国から、GM問題に取り組む2人が参加し、報告しました。(別項)

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討論する(左から)天笠さん、キム・ミキョンさん、キム・ソンチョルさん、(1人おいて)河田さん、真下さん

 日本国内での遺伝子組み換えナタネ自生の現状と問題点を、遺伝子組換え食品を考える中部の会の河田昌東さんが発言。国内のナタネ輸入港周辺で、輸入・運搬の際にこぼれ落ちたGMナタネが各地で自生していることを紹介し、「市民団体、生協などが毎年、調査に取り組んでいる」と述べました。

 食農市民ネット共同代表の天笠啓祐共同代表は、沖縄でのGMパパイア問題について報告。2010年末にGMパパイアの種子が台湾から不法に輸入され、沖縄で栽培、流通していたこと、その後、農水、環境両省によってGMパパイアの自生調査が行われ、採取したうちの8・5%が遺伝子組み換えだったことを紹介しました。

 食農市民ネット運営委員、日本消費者連盟共同代表の真下俊樹さんはMOP7の焦点について説明し、以下の3点が主な争点になると述べました。

 (1)10年に名古屋でのMOP5で定められた名古屋・クアラルンプール補足議定書(遺伝子組み換え生物による生物多様性への被害が起きたとき、起きそうなときに行政がなすべきことを定めたもの)の発効、(2)遺伝子組み換え生物の取り扱い、輸送、包装そして表示についての基準づくり、(3)GM生物が生物多様性の保全、持続可能な利用に及ぼす影響について、自国の国際的な義務に即して社会経済上の配慮をする点での「社会経済上の配慮」とは何か。


在来種保存へ様々な取り組み

遺伝子組み換え食品反対生命運動連帯執行委員長・
全国女性農民会総連合(KWPA)事務総長
キム・ミキョンさん

 遺伝子組み換え食品反対生命運動連帯は2000年に創立され、農民団体、生協、研究所、市民団体などで構成しています。GM食品を地球上からなくそうと活動し、在来種保存運動も行っています。

 おもな活動として、GMO表示制度の改正を求めて、国会で政策討論会を開催したり、日刊新聞の全面広告で募金を呼びかけたりしています。

 また、10万人を目標に署名運動を実施し、有機農業の日に在来種や固有種子の展示ブースを設け、運営しています。多国籍企業糾弾とGMO反対宣伝行動も強めています。

 在来種の保存活動では、女性農民と生協と共同で在来種採取ほ場を運営し、在来種まつりや在来種のわかちあいも行っています。

 来年のMOP7に向けて、全国のネットワークをさらに広げ、政府に対して意見書の提出やロビー活動を強めていきたいと考えています。

GM作物の自生状況を調査

遺伝子組み換え食品反対生命運動連帯共同代表・
韓国農漁村社会研究所所長
キム・ソンチョルさん

 韓国では2012年に食用GM農産物として、大豆、トウモロコシ、綿花、ナタネ、じゃがいも、アルファルファ、ビートの7作物、飼料用として、大豆、トウモロコシ、綿花、ナタネ、アルファルファの5作物が承認されました。輸入量でみると、食用192万トン(24%)、飼料用784万トン(76%)となっています。

 韓国でのGM作物の自生状況は、ナタネ、トウモロコシ、綿花、大豆で、運送路や畜産農家で見つかっています。

 GMO表示制度として、農産物の表示対象は、大豆、トウモロコシ、じゃがいも、綿花、アルファルファ、ビート、ナタネの7作物。食品・食品添加物は、食用として輸入または生産が承認された品目を主要原材料として一つ以上使用して製造、加工された食品または食品添加物中、製造、加工後にも遺伝子組み換えDNAまたは由来タンパク質が残っている食品です。

 表示方法は「遺伝子組み換え(農産物または食品)」「遺伝子組み換え(農産物または原料名)を含む」「遺伝子組み換え(農産物または原料名)を含む可能性がある」の3種類で、非意図的な混入許容率は3%以下です。

 混入率をEU並みの0・9%に下げることと、国民の実質的な「知る権利」に応える表示制度を求めていきたい。

(新聞「農民」2013.11.18付)
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2013年11月

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