大型車で集荷 ピストン輸送
米の全袋検査 真っ最中
福島・郡山市
4台の装置がフル稼働
台風一過の10月17日、稲刈りと集荷真っ最中の福島県郡山市を訪ねて、米の集荷と全袋検査の様子を取材しました。
(渡邊信嗣)
郡山地方農民連の会員
手分けして集荷に大忙し
台風明けとあって当日の集荷は、普段の倍の約700袋を検査へと出します。郡山地方農民連の平克彦事務局長をはじめ4人がトラック2台で手分けして集荷を行いました。私も取材の傍らお手伝い。慣れぬ作業に体が悲鳴を上げながらも、トラックへと米袋を積み込みました。
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全袋検査の様子 |
集荷した米は郡山市の検査場(こおりやまの恵み安全対策協議会が運営)へ運ばれて全袋検査を受けます。福島原発事故以降、福島県は出荷前の米すべてを全袋検査し、放射性セシウムが基準値を超えたものを流通させないようにしています。米屋の倉庫との間をピストン輸送する大型トラックが行きかい、大量の米が検査のため運び込まれていきます。なかでは4台の装置がフル稼働し、10数人の職員が検査を進めていました。
集荷に伺った郡山市石筵(いしむしろ)の安田大介さん(76)は、ちょうどキャベツの出荷の準備中。「集荷が遅れて腐ったキャベツを、怒った奥さんに投げつけられた」と苦笑いしていました。
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安田さんの米を車に積み込む平さん |
2012年度の東電の賠償同意書にまだ署名していません。「作物は同じだけ植えても同じ量取れるわけがないのに、震災前の10年の収量だけを見て、それ以上の分の賠償に応じないのはおかしい。だから署名してないんだ」と怒りもあらわに話します。また、安田さんの土地に、福島県農民連が太陽光パネルを設置することに。「会員全戸の電気を自然エネルギーで」という目標にも協力しています。
同じ石筵の橋本整一さん(74)は、刈り取ったわらを奥さんと乾燥させていました。長年稲作と乳牛を飼育。「牛を飼わないと朝晩が暇になる」と言って、いまは和牛を飼っています。「米のわらで牛を育て、牛のふんは堆肥にする」とまさに循環型の農業を体現してきた橋本さん。「TPPなんかすすめたら、今にバチが当たる」と怒っていました。
(新聞「農民」2013.11.11付)
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