手 記
福島第一原発の相つぐ
汚染水漏出問題に寄せて
福島県農民連会長 亀田俊英
東電、国は一滴たりとも
汚染水を海に流すな!
福島第一原発の事故による汚染水漏出問題で、福島県農民連の亀田俊英会長から怒りの手記が寄せられましたので紹介します。
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東京電力福島第一原発の事故から、2年半を迎えましたが、収束するどころか事故原因の究明すら進んでいません。15万人を超える故郷を追われた人を始め、多くの国民が“多大な”被害を受けており、また新たな問題も起きています。
特に汚染水の問題は深刻です。各地で台風18号の被害がありましたが、案の定(心配したとおり?)あふれた汚染水が海に流されました。東電は相変わらず基準値以下の数値だと言っていますが、「降雨量がもっと多かったら」と思うとぞっとします。
現に漁業関係では予定されていた「試験操業」がまた延期されました。農民連会員の中に漁業者もいます。厳しい情勢のなか、採算が取れないなか、わらにもすがる思いで試験操業に期待をかけてがんばっています。それなのにあんなずさんな対応の仕方に腹が立ちます。国が重い腰(2020年東京オリンピックのため)をあげつつありますが、今計画されている「遮水壁設置」は震災直後の11年6月に検討はされましたが多額の費用負担で経営破たんを懸念して先送りになっていたのです。なぜすぐにやらせなかったのか、許せない思いです。
各層から指摘があったように国の責任で世界中の英知を集めて対応することが急務です。東京オリンピック誘致のため、安倍首相は日本人なら誰でもわかるウソをつきながら世界中に約束したのですから。
津波の被害を受けた浪江町請戸地区に「磐城壽」という酒がありましたが、すべて流されました。こうじ菌が会津大に残っており、今、山形県長井市で酒造りをしています。このようにこの地域では豊富でおいしい水を利用した酒造りが行われていました。阿武隈高地は白亜紀に海底が隆起して陸地になり、多くは花崗岩でできており、地下水も豊富でおいしい酒が造られ、震災時も5つの醸造所が営業していました。そんな地下水が放射能で汚染され、邪魔者扱いされていることは許せません。
きれいな水を汚したのは東電であり、責任は国にあります。
東電、国は「一滴たりとも、汚染水は海に流すな!」。
(新聞「農民」2013.10.14付)
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