三陸沿岸漁業の復興対策を
岩手県漁民組合が水産庁・復興庁と交渉
岩手県漁民組合(藏徳平組合長、岩手県農民連加盟)の組合員14人は9月6日に上京し、国会内で農水省の水産庁、復興庁と交渉を行いました。日本共産党の紙智子参院議員が同席し、農民連本部の笹渡義夫事務局長、山本浩一漁業担当参与も参加しました。
操業期間の規制緩和を
水産庁に対しては、漁業権の免許等について要望。要望書のなかでは「大震災から2年6カ月になろうとしているのに、被災地と三陸沿岸漁業、とりわけ漁船漁業の復興は遅れている」と指摘。「岩手での漁船漁業への規制は、春マス流し網漁の禁止、カジキ等流し網漁も操業期間が5月から8月末まで、しかも50カイリ以遠での操業・サケ刺し網漁の禁止などはあまりにも厳しすぎ、このままでは沿岸漁船漁業は衰退してしまう」と述べています。
参加者は、流し網漁について、「岩手県は他県より厳しく、特例で9月以降も操業できるようにしてほしい」と求めたのに対し、水産庁は「岩手海区漁業調整委員会が県の実態を踏まえて決めたもので国が許可を出すのは難しい」と答えました。
また、参加者は、50カイリ以遠の禁止について、「網が潮に流されて少し出ただけで違反になるのはおかしい。理不尽な取り締まりをしないようにしてほしい」と訴えました。
さらに、マグロやカジキ漁について、政府が国際的な規制導入の議論のなかで、特定大臣許可への移行を検討していることに対して、「沿岸漁民に不利益にならないようにしてほしい」と求めました。
次に、参加者が「魚資源を保護するために、沿岸漁場の破壊と水産資源を根絶やしにする底引き網漁、巻き網漁については水深250メートル以内での操業禁止と2隻ひきをやめさせ、資源保護に努める」よう要請しました。
紙議員も「国が立ち入ってよく実態を踏まえて対応してほしい」と述べました。
漁船漁業の支援強化ぜひ
さらに、漁船漁業への支援について、「漁船だけでなく、漁具、倉庫、漁業資材、えさの保管施設、冷蔵庫も補助の対象とし、漁業生産の回復を支援してほしい」と要望。水産庁は「被災の有無にかかわらず、倉庫、えさの保管施設、冷蔵庫については補助の対象になる」と答弁しました。
復興省に対しては、被災した住宅建設への支援を強めるよう要請。漁民組合相談役の佐藤照彦さんは「山田町では人口の減少が進んでいる。家がいつ建てられるかわからない不安を抱えているためだ」と指摘。「災害復興公営住宅の建設を促進し、『被災者住宅再建支援金制度』の支援金を500万円以上に増額してほしい」と求めました。
復興省は「現場の実態をみながら復興に向けて取り組みたい」と述べました。
(新聞「農民」2013.9.23付)
|