農民連青年部
夏の学習交流会
新潟・十日町市
関連/感想
みんなでワイワイ
聞いた・知った・考えた
農村の魅力農業の魅力 そして仲間作りを
「結(ゆ)イノベーション」をテーマに農民連青年部の交流会が8月24、25の両日開催されました。会場となった新潟県十日町市には全国から農業青年や農業志望の若者ら、56人が集まり、農村の活性化に占める結びつきの重要性について、交流を行いました。
1割の感動が苦労ふき飛ばす
初日でのパネルディスカッションでは4人のパネリストが発言。新潟県の坂下加奈子さんは紛争解決を学んだ大学時代の経験から、就農を決意。香川県から十日町市の池谷集落に移住し、農業に取り組んでいます。「中山間地域に、大量生産・大量消費で低価格はなじまない」と指摘。「生産現場に少しでも寄り添う社会にしたい」と話します。農業の魅力については「日々の9割は大変で悩むことばかりだが、残り1割の感動が全ての苦労をふき飛ばしてくれる。農業だからこその喜びを見つけられるかどうかだと思う」と語りました。
農村の活性化に“結”が重要だ
棚田バンクの関口正洋さんは「空き家、廃校、田畑の活用に取り組んできた。よそからやってきた人間に何ができるかを考え、都市と農村の関係を作ることが必要と感じた」と話し、「農村は時間の流れが多様だった」と農村の魅力について語りました。
「食料を直接作ることができるのが、農業の最大の魅力」と語るのは新潟県農民連青年部長の佐藤徹さん。「農業は、全部自分で決めて働けるし、自然のリズムの中で生きていける。飽き性な自分が10年やっても飽きない」と話しました。
福島県の菅野瑞穂さんは「きぼうのたねカンパニー」を設立して原発事故後の福島の農業の実態を伝えています。「種をまいて収穫するのが喜び。小さな種がこんなにも大きく育ち、一つ一つに個性がある。まるで人間のよう」と話しました。
がんばっていく仲間と決意新た
グループディスカッションでは「まわりの仲間を増やす」「いろいろな人をまき込んでいく必要がある」と仲間作りの重要性が浮かび上がってきました。「伝える側と聞く側の垣根をどう取り払うかが大切。お祭りや農業体験を一緒にやることがいいのでは」など、仲間づくりの実践的な交流まで行われました。
パネルディスカッションのまとめでは、「農家は一人ではできない。農の魅力を伝え、理解してもらうために動けば仲間ができていく」とコーディネーターの相澤堅さん。改めて農業のそして地域の魅力を再認識し、仲間とともにがんばっていく決意を新たにする集会となりました。
大いに飲み・話し大満足
懇親会
夜はお待ちかねの懇親会。なんと今回は、民俗芸能のプロである山本ちひろさん(愛知県)が、オープニングに獅子舞を披露してくれました。大いに飲み、話し、大満足の懇親会となりました。
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懇親会は獅子舞で大盛り上がり |
2日目は、棚田の美しい十日町市の星峠と、限界集落の再生に取り組む池谷集落を視察。星峠では美しく手入れされた棚田を前に、棚田を開いた先人たちに思いをはせていました。
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星峠の棚田をバックに記念撮影 |
池谷集落では視察後、NPO法人「十日町市地域おこし実行委員会」の事務局長である多田朋孔さんが、移住促進など限界集落からの脱出方法を講演。今回は将来就農を希望している人が多数参加しており、多田さんの移住した時の覚悟や、移住を促進するうえでの重要ポイントなどを聞いて「自分が就農するときに、参考になる話が聞けた」という声がありました。
若い人の生の声聞きたくて参加
福島県の神山渚さん(団体職員)
「自分の家の兼業農家としてやっている田んぼをどうしていくかな」と、家のまわりの畑をいじっているときに、今農業をやっているいろいろな人たちの話を聞きたいと思って参加しました。
若い世代の農家がどういう思いで農業をしているのか、生の声を聞き、いろいろなことを考えて、しかも幅広く活動していることに驚きました。人と人のつながりを大事にしながら、誇りを持って農業に取り組んでいる姿がとても刺激になりました。また生き方という面でも、とても参考になりました。特に、佐藤徹さんの話に強く共感しました。
自分の家のまわりでも多田さんや坂下さんのような人たちとつながっていけば、将来的には農業をやっていけるのではという希望が持てる交流会になりました。
改めて農業の魅力がわかった
愛知県の山本ちひろさん(劇団主宰者)
わらび座の講演や学童で出合った太鼓がきっかけとなり、民俗芸能の道へと進みました。青年部の会員が私の太鼓教室に参加したのがきっかけで、今回の交流会に参加しました。民俗芸能はもともと百姓の中から生まれてきたもので、私も土に根差した生活をしていきたいと思っていました。
すごく深い話が多く突っ込んだところまで話ができました。改めて農業の魅力を聞けてよかったです。
また菅野さんが覚悟を決めて福島で農業をしている話を聞いて、福島のことを気にはかけていたが、自分が遠巻きにしか見ていなかったと感じました。
(新聞「農民」2013.9.16付)
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