分析センターだより
お米の安全性を伝え
信頼を深める検査を
誰もが楽しみにしている新米。今回は変わらず問い合わせのある放射性物質の検査結果の傾向について少し触れておきたいと思います。
分析センターでは昨年8月から12月までに、ゲルマニウム半導体検出器を使い、平成24年(2012年)産と考えられる販売向け米類を821検体(玄米791、精米27、米ぬか3)の調査を行いました。主な生産地は関東、甲信越、東北のものです(ただし福島県の検査は福島県連の分析センターに任せており、現在、こちらとの集計作業が終わっておらず、その分は含んでいない)。検査器の検出限界は、Cs(セシウム)134、Cs137のそれぞれが1キログラムあたり1・0ベクレル程度となるように実施しました。
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ゲルマニウム半導体検出器を使って米の検査 |
その結果、お米に含まれている放射性セシウムの合計値は、1キログラムあたり10・0ベクレル以下での検出があったものは791検体でした。これは全体の96%にあたります。このうち、Cs134もCs137も検出限界以下となったお米は545検体を占めていました(10ベクレル以下のお米の69%に相当)。10ベクレルを超えたお米は30検体で、もっとも検出値が大きかったお米は36・4ベクレルでした。国の基準値や検出限界について認識や考え方はあるかと思いますが、この結果は、私たちが危ぐしていたレベルより、いま現在の汚染状況は小さく抑えられていると考えています。
これから新米の収穫が本格化していきます。各産地は、お米の安全性を伝え、信頼を深めるためにも検査を進めてください。前述のデータで示したように、検査は間違いなくお米の品質や安全性を伝える重要な材料として役立ちます。
またお米を食べている方にもお願いです。検査結果を産地としっかり共有してください。そして産地を孤立させない連携のとれた前向きなアクションに取り組んでください。
分析センターの検査は9月から混み合いはじめると予想されています。昨年は、検査が集中した時期には、報告書のお届けが3週間後になるケースもありました。時間が必要となる検査のため、一日に対応できる検査数には限界がありますので、検査を依頼される際は、事前に検査計画などをたてていただき、分析センターとの日程調整をお願いします。検査結果を整え、おいしい新米をみなさんに届けていきましょう。
(八田)
(新聞「農民」2013.9.16付)
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