米価下落・TPP・放射能被害
今ががんばりどころ
共に力を合わせて日本の米を守ろう
米屋さんと生産者をつなぐ交流会
大阪
作柄は“おおむね順調”
農民連ふるさとネットワークの大阪での「米屋さんと生産者をつなぐ交流会」が9月1日、大阪府私学教育文化会館で開催され、お米屋さんや米卸業者、生産者など約100人余が参加しました。
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時折り強い雨が降るなか、100人余が集いました |
たたかう仲間がここにもいる
農民連近畿ネットを代表して、農民組合大阪府連の原弘之会長が「安倍政権がTPP交渉参加を強行し、日本の米と農業を守れるかというまさに瀬戸際で開かれるこの交流会。共同と連帯を強め、米と農業を守る出発点にしよう」と開会のあいさつ。
米屋さんを代表してあいさつに立った米安米穀店(大阪市)の蔵井謙一さんは、「いまTPPが大問題になっているが、米業界ではすでに規制緩和が進められ、量販店の安売りとともに、米屋や生産者が苦境に陥っている。TPPでは外米輸入が自由化されるというだけでなく、米価下落で生産者の意欲が下がってしまい、国内生産が崩壊してしまうことがきわめて心配。ここにいる米屋はみな日本の米を愛している。農家の皆さんには、TPPとたたかう仲間がここにもいるということを忘れないでほしい」と、熱いメッセージを送りました。
追加買い入れ等政府は対策とれ
福島医療生協わたり病院の内科医師、斎藤紀(おさむ)さんが、記念講演しました。斎藤さんは茨城県立医大の内部被ばく検査や、コープふくしまの陰膳方式による地場産食材の放射性物質測定調査などのデータを多数紹介し、「放射能被害の現状を正しく知って、原発事故を、地域経済や社会のありかた、ひいてはTPPと関連させるような広い視点でとらえることが大切だ」と強調しました。
農民連ふるさとネットの森谷精事務局長が、米情勢を報告。「全農の仮渡し金が茨城では前年比3600円も下がる現状で、“米作ってメシ食えない”という状況に再突入しかねなくなっている。政府には米流通を市場任せにするのではなく、備蓄米を買い入れるなどの米価対策を求めていきたい」と強調。同時に、「震災以降、生産者の顔の見える米を求める消費者の声も強まっている。大手量販店だけでは日本の米は守れない。町のお米屋さんとともに準産直に取り組んできた農民連としても、今ががんばりどころと考えている」と決意を述べました。
産地報告では、各ブロックの生産者が今年の作柄や、集荷の取り組みなどを報告。中国地方や九州などの一部から豪雨被害が報告されましたが、全国的には「おおむね順調」。心配された高温障害についても「日中の気温は高いが夜間温度は下がることが多く、品質低下はなさそうだ」という報告が、新潟や京都など各地から相次ぎました。
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意見交換では名刺を交換する姿も |
準産直米に出し販売先が多彩に
参加した大阪市内のお米屋さんは、「ここ2年ほど仕入れ値が高く、しかも米が集まらなくて米屋は苦労した。ところが3月くらいから米価が暴落し始め、高い仕入れ価格でやっと確保した昨年産米の在庫が、今になって大きな負担になっている。米屋の商売は米価が高すぎても低すぎても利益が確保できない。スーパーより少々高くても、お客さんが納得して買い続けてくれるような品質の米や産地の情報を提供していきたい」と、話していました。
2年前から準産直米の出荷が始まった島根県邑南(おうなん)町の元自治体職員で、農事組合法人「赤馬(あかば)の里」事務局長の坂本敬三さんは、「再生産できる価格で販売してきたいと、この交流会に参加した。やはり販売ルートがたくさんあることが大切で、農民連の準産直米は、農協の出荷と比べてもそん色ない価格になった。これからもぜひ出荷していきたい」と、準産直米への期待を語りました。
(新聞「農民」2013.9.16付)
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