米先物取引
試験上場の延長申請
まともな取引実績なく
延長認可はありえない
米の先物取引の試験上場が2年間の試験期間を経て8月7日に終了します。大阪堂島商品取引所は、まともな実績を残すことができなかったにもかかわらず、試験期間の延長を申請しました。認可に前向きとみられる農水省の姿勢が問われています。
取引所側は米卸団体・全国米穀販売事業共済協同組合(全米販)はじめ米業者を巻き込み、試験上場の延長の認可と取引実績の確保に躍起となっています。
7月26日に行われた農水省の食糧部会で、農水省は「8月7日までに認否を決める」と説明し、全米販理事長の木村良委員が試験上場延長の「認可」を主張。農協中央会専務の冨士重夫委員が取引所の体をなしていないとして「不認可」を主張しています。
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7月26日に行われた農水省の食糧部会 |
農水省は部会に「当業者(米業者や農家)の参加意向が2年前より増えた」(と言っても86人から114人に増えたに過ぎず、そのうち生産者は11人のみ)とする資料を添付。従来からの「当業者のリスクヘッジに必要ではないか」などの主張からみて、申請を「認可」する姿勢がにじみ出ています。
主食の米を投機家のもうけの対象にする先物取引は、この2年間、当業者の参加が得られず、投機家からも見放されて取引は停滞し、取引所の理事長の会社が取引の9割も占める異常さや、東京の取引所が試験期間中に解散するなど、まともな取引市場とは言い難く、「試験に不合格」は明白です。
東日本大震災以来、米価が高騰し、今また、業者間の取引価格が暴落して今年産への連動が必至の情勢にあり、生産者だけでなく米業者も先行きに不安を強めています。取引所側はこうした価格変動に勢いを得て「リスクヘッジに先物は必要」と主張し、米業界の一部からもこれを後押しする声があります。
しかし、政府・農水省がいまやるべきことは、「米の需給と価格の安定に責任を果たすこと」であり、市場任せの米政策を改めもせず、先物取引の試験上場延長の認可などではないことを肝に銘ずるべきです。
(農民連ふるさとネットワーク 横山昭三)
(新聞「農民」2013.8.12付)
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