シリーズ
食品表示を考える
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主婦連事務局長 佐野真理子
適正な選択が可能か疑問
食品表示法が6月に制定・交付され、今後2年以内に施行されます。それまでの間、内閣府令などで定めている個別の表示基準が見直されます。
食品衛生法、JAS法、健康増進法が管轄する表示規定を、食品表示法として一つにまとめ、消費者が適正な選択ができるよう、情報提供が消費者の権利であることを明記し、整合化したものです。しかし、「食品生産の振興」「事業活動に及ぼす影響に配慮する」とも明記されているため、法運用にあたっては事業者優先にならないよう注意が必要です。
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食品表示法についての勉強会=7月11日 |
また、JAS法の品質規定がなくなったので、原産地・原産国表示は品質規定に縛られることなく表示されるようになります。栄養成分表示は義務化されましたが、実施は法施行から5年以内です。これらを含め、これから長丁場の検討が取り組まれます。
気になるのが不適正表示の監視・チェックです。各法律の表示を中心に集合させた法律なので、個々の管轄官庁がそのまま引き継いでいます。立ち入り検査は、食品衛生監視員(厚労省)、農林水産消費安全技術センター(農水省)、抜き取り検査(収去食品)は、国立健康・栄養研究所(厚労省)などです。酒類表示は財務省が担います。
広告が規制対象外となっていることも要注意です。消費者を惑わす広告が目立つなか、適正な選択が可能なのか疑問です。規制改革会議による規制緩和要求が高まっており、これに対して反対運動を強めていきます。
(つづく)
(月1回掲載)
(新聞「農民」2013.8.12付)
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