TPP阻止たたかいはこれから
消費者へ安全・安心な農産物を
農民連ふるさとネットワーク第10回総会
集中豪雨被災者に見舞金
農民連ふるさとネットワークの第10回総会が7月30日に東京都内で開催され、102人が参加しました。TPP交渉参加反対と、農業と農村を守るふるさとネットの意義と役割について討論し、決意を固めあいました。
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7月30日に開催された農民連ふるさとネットワーク第10回総会 |
ふるさとネットの堂前貢代表は冒頭、豪雨の被害者にお見舞いと支援を表明。「参議院選挙では自民・公明が過半数を占め、非常に厳しいものがある。これと立ち向かう私たちの運動をどう作っていくのかが問われる総会だと思う。活発な討論を期待します」とあいさつ。農民連の白石淳一会長もあいさつで「財界はTPPのどさくさに紛れて、農地・生産・流通を火事場泥棒的に手に入れようしている。地域の農業を守って、消費者に安全・安心な農産物を届ける。このために生産・流通双方にかかわっているふるさとネットは重要な対抗軸だ」と訴えました。
集中豪雨の被害にあった山口県、島根県の農民連に見舞金が白石会長から渡されました。
森谷精ふるさとネット事務局長は1年間の活動と決算を報告。第10期度の事業計画および予算案を提案しました。
来賓として、日本共産党の紙智子参院議員と新日本婦人の会の神出泉副会長があいさつしました。
19人が多彩・活発に発言
討論では19人が発言しました。
私たちの運動を飛躍的にアップ
農民連の笹渡義夫事務局長
TPPは農業のみならず日本経済全体に大きな影響を与えるものです。TPP阻止のたたかいはまだこれから何年もかかります。われわれの運動も飛躍的にバージョンアップさせてたたかい抜きましょう。
準産直米の増加手ごたえ十分
福井県農民連の玉村正夫さん
昨年初めて、越前たけふ農協に準産直米を1700俵、出荷してもらいました。背景としては、役職員に新聞「農民」の読者が多く、農民連への理解があったからだと思います。昨年、大規模農家を回ったところ、2軒の農家が出荷に応じてくれ、今年は全量を出してくれることになりました。このように福井県農民連の準産直米は、まだまだ増えるという手ごたえを得ています。
加工用米農家を増やし会員拡大
(有)新潟産直センターの鶴巻純一さん
今年は役員の1人が奮起して地域の農家に加工用米の話をしたところ、4人が加工用米を出荷することになりました。申請書類もセンターで一括して申請でき、生産農家の負担も軽減できました。ふるさとネットには、加工用米の実需者探しから取り扱いの交渉まで協力してもらい、たいへん感謝しています。加工用米農家を増やして、準産直米の出荷量と会員数を拡大していきたい。
事故後3年目に重要な第一歩が
福島県北産直センターの阿部哲也さん
原発事故から3年目の今年は、北海道と地元の福島県の新婦人との産直で桃の産直が再開し、生協産直や全国展開しているホームセンターでも取り扱いが再開しました。原発事故以降、生産者には、「10年前の産直センターの発足時のように、また“一(いち)”からがんばろう」と励まして歩いてきました。取り扱い数量はまだまだ微々たるものですが、事故後3年目にして、非常に重要な第一歩が踏み出せたという思いがしています。
山菜など商品化多様化つながる
奈良産直センターの杉村出さん
奈良県では、1万パックの生産者も、10パックの生産者も出荷できる体制をつくり、中小スーパーや自然食品店に出荷しています。この取り組みで今まで見捨てられていたような山菜なども商品化でき、多様性につながって、お客さんが増えるという好循環が生まれています。
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取り組みを発言する奈良産直センターの杉村さん |
いま青年の経済状態は非常に厳しいです。こういう現状のなかで1箱3000〜4000円、1パック400円近い果物というのは、若者にとってはなかなか厳しい値段だと思うのです。当センターも、高付加価値を追うだけでなく、誰でも手が届くものも必要なのかなと考えています。
太陽光発電に大いに取り組む
福島農民連産直農協の佐々木健洋さん
福島県農民連では太陽光発電に力を入れて取り組んできました。現時点で計画しているものを合計すると、来年春には1500キロワットのメガソーラーの設置を目指しています。また会員の農家でも、3軒で売電が始まったほか、事務所の屋根にも設置しました。
自然エネルギーの取り組みは、福島の原発事故や地球温暖化などから、原発にも化石燃料にも頼らないという意義があります。同時に、農民連として取り組む意義として、組織の財政にも寄与し、農家経営にとっても売電収入が収入になるということがあります。
日本全体ではいま24兆円もの燃料を輸入しており、自然エネルギーは設置・管理業者や売電収入など、地域にもお金が落ちるという点も重要な視点だと思います。
量が少なくても仲間広げていく
兵庫農民連産直センターの辻本悦子さん
多古旬の味産直センターと新婦人との産直を活性化させる取り組みが参考になりました。兵庫でも取り入れていくことができないか考えていきたい。準産直米では一軒一軒の農家の扱い量が少なくても仲間を広げていくことが大切だと感じました。TPP阻止の取り組みでもあきらめずに頑張る力をもらった、収穫の多い総会となりました。
自然エネルギー必要を実感した
千葉房総食料センターの竹内壮文さん
私たちも太陽光発電に取り組んでおり、8月から売電がスタートしますが、賛否両論がありました。しかし、他の産地でも積極的に取り組んでいる報告を聞き、やはり自然エネルギーを必要とする流れがあることを実感できました。奈良の青年が新しい感覚で産直に取り組んでいる報告では、時代とともに変化した、新しい産直運動を青年ならではの視点で進めていく必要性を感じました。
(新聞「農民」2013.8.12付)
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