「農民」記事データベース20130812-1081-01

市民発電
「わたしのでんき」スタート

千葉・多古町旬の味産直センター

関連/米屋さんと生産者をつなぐ交流会


「しんのみくうかん」7月から発電8月に
精米所にも太陽光パネル

 産直運動とともに自分たちの使う電気を自分たちの手でつくり出す取り組みが始まりました。千葉県の多古町旬の味産直センター(高橋清代表)の精米所「市民農園わたしの田んぼ米工房」には、精米時に消費する電力量1時間あたり約40キロワットの太陽光発電装置を8月中に設置する予定です。それに先駆けて、交流施設「しんのみくうかん」に1時間当たり約15キロワットの発電装置が設置され、7月26日に発電がスタートしました。

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「しんのみくうかん」の屋根に取り付けられた太陽光パネル

 ドイツ・スイスの取り組み視察

 2011年の東日本大震災後、福島県南相馬市で農業を営んでいた三浦草平さんや吉田圭吾さんらが農業研修を兼ねて多古町に避難してきました。これをきっかけに、福島・浜通り供給センターとの交流・支援に参加するなかで、農業と原発との共存はありえないとの思いを共有しました。

 多古町旬の味産直センターは2012年7月、農民連関東ブロックが主催したドイツ・スイスの自然エネルギー視察ツアーに参加し、農家が食料だけでなくエネルギーも地産地消している取り組みを学びました。同様のツアーは今年の7月にも行われました。

 地域で使うエネルギーを、自分たちで自給できる地域を「エネルギー自立地域」と呼び、この取り組みは、地域を変え、世の中を変える運動になっています。こうした発電事業や省エネリフォーム事業は、地域の雇用も生み出しているのです。

 12年7月のツアーから日本に戻ってきて、「自分たちも何か取り組めないか」と考えた結果が「市民発電わたしのでんき」です。消費者参加型の産直である「市民農園わたしの田んぼ」の米を精米するのに必要な電力を、精米所の屋根で発電するという計画です。

 多古町旬の味産直センターが100%出資し、発電事業を行う会社「有限会社エコファーム旬菜」を設立し、売電利益を使って、地元の農産物を提供します。1口5万円の参加金で、毎年5000円分の農産物を10年間届けることになります。この産直品は、参加者本人だけでなく、次代を担う子どもや孫の代まで受け取れます。

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市民発電をみんなで祝いました。左は高橋代表。その右側は原さん=7月27日

 新婦人神奈川も一緒に参加して

 昨年秋から募集を始め、高橋代表を先頭に、視察ツアーに参加した職員たちがドイツ・スイスで見て聞いたことを学習会や集会などで説明し、事業への参加を呼びかけてきました。こうして今日まで600人を超える参加者が集まり、応募額は2000万円を超えました。なかでも多古町旬の味産直センターと産直で深く交流を行っている新日本婦人の会神奈川県本部からは400人以上の応募がありました。

 「米工房」に先駆けて「しんのみくうかん」で7月からパネル設置工事が着工し、26日に発電が始まりました。翌27日に、「しんのみくうかん」で「かぶと森自然教室」が開かれ、新婦人神奈川県本部から親子連れら約150人が参加して、生きもの観察やブルーベリー、トウモロコシの収穫体験など、自然を満喫しました。

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「わたしのでんき」の配電盤

 原発に頼らない自分たちで賄う

 昼食後に、「わたしのでんき」発電開始セレモニーが行われ、多古町旬の味産直センターの高橋代表が「農村の条件を生かして、原発に頼らない再生可能なエネルギーを自分たちでまかなう取り組みを全国の仲間、地域のみなさんと大きく発展させたい」と述べました。

 今年のドイツ視察にも参加した新婦人神奈川県本部の産直担当、原眞砂さんもあいさつ。「産直とともに、みんなで一緒にこの市民発電に取り組み、原発ゼロの思いをもっと広げましょう」と呼びかけました。

 原さんは「原発に頼らなくても、エネルギー発電は自分たちでできるということを知ってほしい。この事業にもっと協力して、学習を積み重ね、子や孫に残していきたい」と話しました。

 高橋代表は「太陽光パネルを生産者の屋根にも設置するなど、もっと広めたい。新婦人のみなさんと協力して関連した取り組みを研究していきたい」と語っています。


米屋さんと生産者をつなぐ交流会
―両会場とも“放射能と食”をテーマに講演―
東京会場
8月25日(日)午後2時〜5時半
講  演 「内部被ばくの現状とこれにどう立ち向かうか―福島の現場から」
     (福島市わたり病院医師 斎藤紀(おさむ)先生)
会  場 東京・台東区民会館9階大ホール(東武線、地下鉄銀座線「浅草駅」徒歩5分、都営地下鉄「浅草駅」8分)
参 加 費 無料
申し込み 農民連ふるさとネットワーク TEL 03(3590)1337、TEL 03(3590)9524
大阪会場
9月1日(日)午後2時〜5時(交流会)、交流会終了後懇親会
講  演 「内部被ばくの現状とこれにどう立ち向かうか―福島の現場から」
     (福島市わたり病院医師 斎藤紀(おさむ)先生)
会  場 大阪市都島区・大阪府私学教育文化会館(JR東西線「大阪城北詰駅」徒歩2分、JR環状線「京橋駅」徒歩12分、京阪線「京橋駅」徒歩10分・「天満橋駅」徒歩12分、地下鉄鶴見緑地線「京橋駅」徒歩10分・「大阪ビジネスパーク駅」徒歩10分、地下鉄谷町線「天満橋駅」徒歩12分)
参 加 費 無料、ただし懇親会は4000円
申し込み 農民連近畿ネット TEL 06(6965)2900、TEL 06(6965)2901

(新聞「農民」2013.8.12付)
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2013年8月

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