2013年自生調査報告会
GM(遺伝子組み換え)ナタネ
全国に汚染広がる
「遺伝子組み換え食品いらない!キャンペーン」と「食と農から生物多様性を考える市民ネットワーク」(食農市民ネット)は7月6日、東京・明治大学で2013年遺伝子組み換え(GM)ナタネ自生調査全国報告会を開きました。
放射能汚染と共通点多い
「遺伝子組換え食品を考える中部の会」の河田昌東さんは、GM汚染と放射能汚染の共通点を指摘。両者ともアメリカの国策であり、環境への影響や食品汚染を引き起こす点を述べました。さらに安全審査も不十分で、業界や学会が批判勢力を排除・弾圧し、都合のよい結論を誘導する“ムラ構造”が根強いことを示しました。
河田さんは、遺伝子組み換えと原発事故が引き起こすそれぞれの被害や問題点についても詳しく説明しました。
1次陰性で2次陽性の“隠れGM”の自生も調査
次に各団体から報告があり、グリーンコープ共同体の牧幸子さんは、昨年12月からGM作物拡散防止を求める署名活動を熊本県内で展開し、半年間で県知事あてと市長あてにそれぞれ約2万人分を集めたことを報告しました。
さらに、県内89カ所でGMナタネの調査をして、「10カ所で検出された」と述べました。
コープ自然派事業連合の松尾由美さんは、京都、兵庫、大阪、奈良、香川の2府3県で調査し、兵庫(神戸港)で11検体、香川(坂出港付近)で初めてGMナタネ5検体が検出されたことを報告しました。
中部の会の河田さんは、タンパク質の有無を調べる簡易試験の1次検査で陰性(遺伝子組み換えでない)と判定されたものが、PCR法で遺伝子を調べる2次検査で陽性(遺伝子組み換え)と判定される「隠れGM」について、三重県四日市で調査し、7検体が「隠れGM」だったことを紹介しました。
さらに、「隠れGM」を鉢植えにして、除草剤を振りかける実験を行ったところ、枯れなかった事実を示しました。
キャンペーンの天笠啓祐代表は「隠れGM」について、四日市のほか福岡などでも検出されたことをあげ、「ナタネが密生し、繰り返し世代交代している場所で多く見つかっている」と述べました。
農民連食品分析センターは八田純人所長が報告し、千葉、神奈川、静岡、兵庫、岡山の5県で調査し、すべての地域で遺伝子組み換えが検出され、41個体のうち18検体が遺伝子組み換えでした(分析センターの調査は1次検査だけで、2次検査は後日実施します。その結果の詳報も後日掲載します)。
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遺伝子組み換え汚染について討論する(右から)八田、天笠、河田の各氏 |
TPP参加で食品表示や安全性審査が後退する
各地の報告後、パネルディスカッションが行われ、河田さん、八田さん、天笠さんの3氏が討論しました。八田さんは、汚染を防ぐために、ナタネが輸入され、運搬・輸送される際の徹底した管理の必要性を強調しました。
天笠さんは、日本がTPPに参加することで、遺伝子組み換え食品の表示や安全性審査が後退する危険性を指摘しました。
(新聞「農民」2013.8.5付)
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