シリーズ
食品表示を考える
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主婦連事務局長 佐野真理子
知らずに食べている
遺伝子組み換え食品
表示が不十分なために消費者の適正な選択が阻害されている問題に遺伝子組み換え食品があります。現在、表示の対象は加工食品33品目だけです。さらに5%以下までなら遺伝子組み換えが混入していても意図しない混入として「遺伝子組み換えでない」と表示できます。仮に3%の混入であっても表示する必要はありません。私たち消費者は知らずに摂食しているのが実態です。
市民団体「遺伝子組み換え食品いらない!キャンペーン」が、混入の可能性のある加工食品を調査し、「チェックシート」を発表しました。それを見ると、幅広い食品に遺伝子組み換え食品が素材として利用されている可能性があることがわかります。
EU(欧州連合)ではどうでしょうか。表示義務はすべての食品・飼料が対象です。しかも、意図しない混入率は0・9%までです。日本では、牛・豚・鶏の飼料のほとんどが輸入された遺伝子組み換え作物ですが、飼料は表示の対象外です。EUでは今後、牛・豚などの肉類の表示に遺伝子組み換え飼料を使っているか否かを明記することが検討されているようです。日本とは雲泥の差です。
遺伝子組み換え食品の問題は、不十分な表示実態をはじめ、遺伝子操作が実際にどのような環境・人体影響を招くか不透明な部分が多いことです。少なくともEU並みの表示にすること、そのためには全ての食品と飼料に関するトレーサビリティ法が必要となります。
(つづく)
(月1回掲載)
(新聞「農民」2013.7.29付)
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