参議院選挙の結果について
2013年7月22日
農民運動全国連合会会長 白石 淳一
一、7月21日に投開票が行われた参議院選挙で自民党は31議席増やし、1議席増の公明党とあわせて参議院の過半数を確保した。昨年の総選挙で大敗して政権から転落した民主党は27議席減らして17議席となり、いっそう凋落(ちょうらく)した。「第3極」といわれる党も、みんなの党が前回当選数より後退し、日本維新の会も議席は増やしたものの大きく失速した。
日本共産党は、改選3議席を8議席に伸ばし、非改選議席とあわせて11議席となり、議案提案権を確保し、党首討論への参加を可能とした。
一、自民党は、“衆参のネジレの解消”が争点であるとし、国政の重要問題の争点をぼかし、安倍首相も経済問題以外はほとんど語らなかった。自民党が選挙の最大の目玉政策とした“アベノミクス”について、「効果を実感できない」というのが圧倒的多数の国民の声であった。
また、TPPや原発再稼働、普天間基地問題などで自民党本部のマニフェストと真逆の公約を掲げてたたかった候補者も続出した。こうした点からも自民党が議席の上では多数を占めたが、国民が自民党に白紙委任したものでないことは明らかである。
一、自民党政治と正面から対決し、国民の所得向上を軸にした経済政策と消費税増税の中止、原発の再稼働と輸出反対、憲法改悪反対、TPP参加反対を掲げた日本共産党が、比例で5議席を確保し、選挙区でも東京をはじめ、定数2の京都、そして大阪で議席を確保したことは、安倍首相が衆参の“ネジレの解消”をテコに、TPP参加や憲法改悪などを暴走させようとしているなか、国民的たたかいを発展させる大きな基盤となりうるものである。
さらに、今後、国民が主人公の新しい政治の実現に大きな展望をもたらした。
一、安倍政権は参院選の直後にTPP交渉に参加しようとしている。TPPについて安倍首相は「国益を守る」「日本の農業を守る」と繰り返し主張し、自民党は国益が守れない場合の交渉からの離脱を表明して選挙をたたかった。今度の選挙では、衆院選での公約を踏みにじってTPP交渉参加を推進する自民党に対し、少なくない道県の農政連が自民党候補の推薦を見送った。また、推薦した農政連でもTPP参加反対や交渉からの離脱などを条件に推薦した。
このことからも、TPPについて有権者は自民党に白紙委任したものではなく、TPP断固反対の意思は不変である。
一、農民連は、参院選に向けてTPP断固反対、原発ゼロの実現などを柱とする「農民連の要求」を打ち出し、40万枚余の新聞「農民」号外を農家に届け、対話して選挙をたたかった。
多くの有権者が暴走する安倍政権に不安を募らせ、経済政策でもTPPでも、アメリカいいなり、大企業優先の自民党型政治を転換することなくして政治は変わらないという思いを募らせている。
農民連は、TPP参加阻止、農業と農家経営、農山村を守るために、引き続き一致する要求で共同を広げ、農民の要求に応えた政治、国民が主人公の政治を要求して奮闘するものである。組織をさらに前進させ、悪政とたたかう国民の力を大きくするために全力を尽くすものである。
(新聞「農民」2013.7.29付)
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