「農民」記事データベース20130729-1079-01

ビア・カンペシーナ第6回国際総会

食料主権の確立へ
運動と連帯さらに強く

関連/第6回国際総会 農民連代表団名簿

 農民連が加盟する国際的農民組織、ビア・カンペシーナ第6回国際総会が6月、国際運営事務局があるインドネシア・ジャカルタで開かれ、農民連から15人の代表団が参加しました。6、7両日が女性総会、8、9両日が青年総会、9日午後から12日まで国際総会が開かれました。今回新たに加盟を承認された33組織の代表を含む88カ国183組織、約600人が集結し、食糧主権確立のためにたたかいと連帯を強めることを誓い合いました。


原発事故・TPP問題で宣言採択
農民連の提案

 インドネシア農業相が激励

 国際総会初日の9日は、小農民の勝利スタジアムと名づけられた体育館で開会式典が行われ、地元の農民や住民ら約3000人が参加し、インドネシア伝統の音楽、歌、踊り、武術を披露し、盛大に歓迎してくれました。

 今回の総会は、1993年に結成されたビア・カンペシーナにとって20周年の節目の年。国際調整委員会責任者のヘンリー・サラギさん(インドネシア農民組合代表)は、多国籍アグリビジネスや国家が進める新自由主義的な「緑の革命」、自由市場、自由貿易協定に対抗するために、小農民の権利と農地を取り戻し、食糧主権を確立するたたかいを呼びかけました。インドネシア農業大臣、大統領貧困削減特使、IFAD(国際農業開発基金)、FAO(国連食糧農業機関)の各代表が登壇し、連帯と激励のあいさつを行いました。

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壮大な規模で行われた開会式典

 10〜12日の3日間は、開会前などにミスティカ(文化行事)が各地域の持ち回りで行われ、種子の保存や女性への暴力の告発、農民の勝利などが多彩に表現されました。

 参加者が誰でも自由に発言した

 総会では、資本主義の地球規模的危機の状況、農薬に対するキャンペーン、土地収奪に対するたたかいと農地改革、食糧主権と代替市場などのテーマで活発に討論が繰り広げられました。参加者は誰でも発言でき、原則男女が交互になるよう配慮されました。

 10日は、農民連からも3人が発言。齋藤団長が原発事故と福島の復興、自然エネルギーのテーマで報告し、大きな共感の拍手が寄せられました。杵塚さんは、原発事故と農業について発言し、事故の下でも懸命に営農を続ける姿に各国代表は熱心に聞き入っていました。藤嶋さんは、産直運動について述べ、最後に日本語で「がんばろう」と呼びかけると、聴衆からもそれに呼応して「ガンバロー」コールがわき起こりました。

 3日間を通して、すべての組織の意見を反映させるための地域会議が開かれ、農民連は東南・東アジア地域会議に出席しました。そこでは、大木さんが原発事故による損害賠償の取り組みと自然エネルギーの活用について、高橋さんが慰安婦問題や侵略戦争美化の動きに対するたたかいについて報告しました。

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農民連の代表。湯本さん(前列右)、高嶋さん(前列左から2人目)、(2列目右から)高橋さん、佐々木さん、沖津さん、藤嶋さん、齋藤さん

 分科会でTPP反対活動を報告

 11日夕には、参加組織が食べ物を持ち寄り交流。日本からは、かき餅と、湯本さんが作るおやきが振る舞われ、調理して出してもすぐになくなるほど大好評でした。

 11日夜には、4つのテーマで分科会が行われ、農民連は「貿易と多国籍企業」分科会に参加。松本さんが、TPP反対の取り組みを報告しました。

 9〜11日まで、会議場隣には、アグロエコロジー村が開設され、地域ごとにブースが建てられました。農民連は、折り鶴や掛け軸、女性部が一般紙に出した憲法9条を守る意見広告のポスター、自然エネルギーの実践パネルなどを展示し、親交を深めました。

 農民連の存在感 宣言の形で結実

 最終日(12日)は、総会の成果を盛り込んだ「ジャカルタからの呼びかけ」(3面に掲載)が満場の拍手で確認されました。すべての総会を通じて、農民連が一貫して主張してきた原発、TPP問題については、「私たちはFTA・TPP反対の運動を強めるとともに、大震災と原発事故を乗り越え、再生可能エネルギーへの転換を進める」という特別宣言(5面に掲載)の形で結実しました。

 閉会式典では、参加者全員が輪になって座り、民族衣装などを身にまといながら盛大に行われました。

 事務局がインドネシアからアフリカ・ジンバブエに移転することが報告され、新しい国際調整委員も紹介。責任者のエリザベス・ムポフさん(女性、ジンバブエ)があいさつしました。農民連女性部が準備した折り鶴が参加者全員に手渡されました。

 式典後の食糧主権の夜では、民謡やロックなどの音楽が演奏されるなか、最後の交流を楽しみました。農民連は、13日、二手に分かれジャカルタ市内の見学と農村訪問をしました。


第6回国際総会 農民連代表団名簿

齋藤敏之(団長 常任委員 野菜)
松本慎一(副団長 常任委員 埼玉県連事務局長 米)
高橋マス子(副団長 常任委員 女性部副部長 野菜)
沖津由子(常任委員 女性部副部長 青森県横浜町 米・野菜)
大木傳一郎(千葉県連会長 千葉県匝瑳市 米)
藤嶋嘉子(女性部 福岡県若宮農民組合書記長)
佐々木賀代子(女性部 福島県連事務局)
杵塚歩(青年部長 静岡県藤枝市 茶)
三浦草平(青年部 福島県浜通り農民連 米)
湯本真理子(青年部幹事 長野県山ノ内町 果樹栽培・加工)
高嶋晶子(北海道連 北海道千歳市 トウモロコシ・野菜)
関根耕太郎(埼玉県連事務局)
曽根陽一(埼玉県連・埼玉産直協同)
岡崎衆史(農民連本部国際部員)
勝又真史(常任委員 新聞「農民」編集長)

(新聞「農民」2013.7.29付)
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2013年7月

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