「農民」記事データベース20130722-1078-06

どう見る?

安倍自公政権の
「10年間で所得倍増」戦略

大規模米農家 塚田静男さんに聞く


TPP参加 消費税増税 etc
農家経営を圧迫

具体策なし 説得力なし

 安倍首相や自民党が、大規模化などによって「10年間で農業・農村の所得を倍増する」という「日本再興戦略」を掲げています。実際に規模を拡大している農家はどうみているのか。関東平野を流れる利根川沿いの埼玉県加須市で米27ヘクタールを作付けする塚田静男さん(65)に聞きました。

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順調な稲の生育状況をみる塚田さん

 大きくなるほど大変なことも

 減農薬減化学肥料で、コシヒカリ、埼玉県の奨励品種・彩のかがやき、そして高温障害に強い「にこまる」を栽培しています。

 「所得倍増」といってもどうやってやるのか、具体策がいっこうにわかりません。ましてTPPへの参加を進めながら、「所得を増やす」と言っても説得力がありません。アメリカやオーストラリアの大規模農家とどう対等にわたり合えと言うのでしょうか。結局、農業に参入した企業の所得を増やすということであって、農家にはなんの恩恵もないと思います。

 簡単に「大規模化する」と言いますが、大規模になればなるほど大変なのです。私も10年前に比べて面積は倍になりました。担い手が減った分を引き受けてきた結果です。今は妻と息子の家族3人でやっていますが、それでもこの面積を作るのは一苦労です。規模拡大にも限界があります。

 大きな規模だと田植えをする時期が異なり、生育に差が出てきます。水をある場所には流し、また別の場所は中干しで止めてしまうなどの異なった対応をしなければならず、水の確保には苦労します。作り方も一様でなく、小規模の農家に合わせなければなりません。

 また、規模を大きくすれば、農機具代や光熱費、水代が余計にかかります。今でもデフレで農業資材が高騰しているのに、来年から消費税率の引き上げということになれば、農家経営はますます圧迫されます。

 米価の安定こそ米農家が望むもの

 最近、また米価が下がってきています。ある程度の値段で売れないと、私たちはやっていけません。

 市場に米が足りなくなるとすぐに上がり、増えてくるとすぐに下がる米価。価格の安定こそが収入の安定につながり、私たち米農家が最も望んでいることです。そうなれば若い担い手ももっと増えるはずです。

(新聞「農民」2013.7.22付)
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2013年7月

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