「農民」記事データベース20130722-1078-02

TPP

投票日まではひた隠し
終わったとたんに自由化


 「ジェジェジェ!」。NHKの朝ドラ「あまちゃん」ではありませんが、自民党の厚顔ぶりと恥知らずには、ただただ驚き、あきれるしかありません。

 日本経済新聞は7月9日、安倍政権のTPP交渉方針案をスッパ抜きました。5月24日、7月3日に続き、3回目です。

画像 その内容は、輸入自由化、食品安全基準、漁業補助金など7分野でアメリカに完全に譲歩するもの。

 屈服を宣言した

 輸入自由化では、「重要品目」には触れずに、日米共同声明にもられた「全ての物品が交渉の対象とされる」ことを再確認するとして、米を含む完全自由化に乗り出す意図を鮮明にしています。

 食品安全基準では、国際的な基準と「科学」にもとづく新基準をつくることを明言。これは、各国の食生活の違いにもとづく基準作りを否定し、科学的解明の不十分さを無視したグローバル基準を押しつけることを容認するものです。アメリカは残留農薬、BSE、遺伝子組み換え食品などで自国の基準を押しつけることに躍起ですが、安倍政権の交渉方針はこれに屈服することを宣言したものです。

 漁業補助金は、漁船建造や漁港建設に対する補助金が水産資源の乱獲につながるとして、アメリカなどが原則禁止を提案し、日本政府はWTOなどで一貫して反対してきました。原則禁止が認められれば、東日本大震災被害から立ち直ろうとしている漁業者の息の根が止められます。

 事実を否定せず

 この報道に対し、甘利TPP担当相は一応は「誤報」と否定しつつも、「日米間では関心事項はもちろん出し合っているが、具体的な協議をしたわけでも結論を出したわけでもない」と釈明。7月23日から予定されているTPP交渉の場や、8月上旬に予定されているTPPに関する日米並行協議の場で「具体的な協議」を行うことに含みを残しています。

 また、安倍政権の「加工米関税下げ容認」方針については、林農水大臣は9日の記者会見で、「今後の検討課題」と述べるだけで、事実関係を一切否定しませんでした。

 記者「加工米の関税を下げるとか、冷凍牛肉の関税を下げるということになった場合、それでも『聖域』が守られたということになるのか」

 林農水大臣「それは随分先の話だ。7月の会合のやりとりにもとづいて、今後の対応については政府が検討する」

 票をかすめ取り

 マスコミのたびたびの暴露にもかかわらず、7月21日まではひたすら「知らぬ存ぜぬ」で隠し通し、参院選が終わったら、一気に全面譲歩に突っ走る意図は見え見えです。

 「重要5品目を守ることを最優先し、それができない場合は交渉脱退も辞さない」といって票のかすめ取りをねらう自民党の厚顔ぶりと恥知らずに断固たる審判が求められます。

(新聞「農民」2013.7.22付)
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2013年7月

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