「農民」記事データベース20130722-1078-01

アベノミクスの
所得倍増に疑問


“米価を4割下げる”と明記
→「所得倍増」どころか「半減」

 自民党の目玉政策、「所得倍増10カ年戦略」に大きな疑問と不信が渦巻いています。

 日本農業新聞の「農政モニター調査」では、「所得倍増10カ年戦略」を「評価する」と答えた人が6・4%。これに対し、「評価しない」「所得が何を指しているのか分からないので評価しようがない」が合計48・1%。さらに「評価するが施策や予算の裏付けが乏しい」と懐疑的な人が42・6%。合計90・7%で、10人に9人が疑いの目で見ています(7月4日付)。

 この疑いには十分な根拠があります。アベノミクスの中心、「成長戦略」では米の生産コスト、つまり米価を現在の1万6千円から4割下げることを明記しています。

画像
田植えから2カ月。稲の生育も順調です

 下図のように、この20年で米価は1俵(60キロ)2万1000円強から1万5000円台に3割下がり、農業所得は160万円から100万円に4割下がりました。このうえ米価が4割下がったら、所得は70万円かそれ以下に下がることは明白です。

画像

倍増のかけ声のウラで…
これではサギではないか

 自民党のいう「所得」が何を指しているのかは不明ですが、農業所得を「倍増」させるとすれば200万円の計算になります。私たちは米の生産費をつぐなう価格保障で、倍増どころか3倍増にしてほしいと願っていますが。

 「所得倍増」のかけ声の裏で、「所得半減」をめざす――これでは「詐欺」ではありませんか。自民党は農業政策を「15本の矢」になぞらえていますが、この毒矢が射抜こうとしているのは農家です。

(新聞「農民」2013.7.22付)
ライン

2013年7月

農民運動全国連合会(略称:農民連)
〒173-0025
東京都板橋区熊野町47-11
社医研センター2階
TEL (03)5966-2224

本サイト掲載の記事、写真等の無断転載を禁じます。
Copyright(c)1998-2013, 農民運動全国連合会