欺まんに満ちた自民農業政策
新潟・十日町市農業委員会会長
阿部三代継さん(79)
怒れ! 農業者
だまされるな
発足以来、不思議とも思える高支持率を維持してきた安倍内閣も強引すぎた金融政策のほころびから陰りが見え始め、慌てた政府・自民党は次々と選挙目当てとも思えるにわか作りの諸政策を打ち出してきた。なかでも特徴的なのが農業政策で、TPPの対応で離れて行った農民票を意識したものとしか考えられない。
これほど愚ろうした話はない
いわく、「農業所得を倍増します」。私ども農家にとっては涙が出るほどありがたい、うれしい話だが、花火が打ち上げられてもう2カ月を経過したのに具体的な設計図も工程表も示されない。それどころか、その後発表された「攻めの農政」の中ではさらに農地集積、大規模化を推進するとある。そうだとすると、多くの農家が淘汰(とうた)されることになり、これほど農民を愚ろうした話はなく、怒りをもつのは当然である。
さらに生産コストの30〜40%削減の話もでてくる。その手法として肥料・農薬、農機具や他の生産資材の価格低減を政府の産業政策のなかで実行するとあるが、実現性は乏しい。
歯止めをかける大事な参院選
以上、述べてきたように農民票を意識した動きが顕著なのはなぜか? 答えは簡単。自民党、民主党が政権を失い、野党に転落したのは、それぞれの選挙で農民にそっぽをむかれたからにほかならない。その反省から今回のご機嫌取り政策が喧伝(けんでん)されているものと考える。
今の、欺まんに満ちた政策が功を奏し、選挙に勝てば国民の信任を得たと大見えを切り、TPPの参加も、農民の選別政策も、さらには憲法の改悪まで一挙に走りかねない危機をはらんでいる。
今回の参議院選挙は、この状況に歯止めをかける大事な選挙。しかもそのキーポイントはわれわれ農民が握っている。
怒れ農民! だまされるな農業者!
(新聞「農民」2013.7.8付)
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