「農民」記事データベース20130708-1076-01

TPP問題
各地の農政連
自民党を推薦せず

「支持したら農民自らの首を絞める」


昨年の総選挙では
“公約違反だ”“裏切り行為だ”

 6年前に全国農協中央会(JA全中)前専務の肩書で自民党比例区から立候補して当選した山田俊男氏。21日投票の参院選でも、自民党公認候補として各地のJAを行脚し、「安倍総理のTPP交渉参加表明は公約違反」などと、TPP反対を訴えています。

 TPP参加表明各地で不満噴出

 今回の参院選では、昨年の総選挙で自民党が「TPP断固反対」を掲げて当選したにもかかわらず、安倍首相が参加を表明したことへの不満が各地の農協から噴出。「裏切り行為だ」などと強い批判が続出し、自民党候補への推薦をやめたり、自主投票とするところが相次いでいます。

 北海道農協政治連盟は、自民現職候補を推薦も支持もせず、自主投票とすることを役員会の全会一致で決めました。参院選の選挙区で自民党候補を推薦も支持もしないのは初めてのことです。

 “保守王国”群馬では、群馬県興農政治連盟が常任委員会で「(TPPへの参加を表明した)安倍政権を構成する候補者を推薦することは、農業者の心情として困難」として、自民現職候補の推薦を見送りました。

 自民・石破茂幹事長の地元、鳥取県農協農政協議会は、TPP参加で酪農が全滅するとの県試算を踏まえて自主投票になり、岩手県農協政治連盟は、「TPPに反対する候補者を応援する」として、特定候補の推薦を見送りました。

 脅しにも屈せず現職野党候補を

 山形県農協政治連盟は「いま自民党を敵にして農業が大丈夫だと思っているのか」(自民党TPP対策委員長)という脅しにもかかわらず、反TPPを訴えてきた現職野党候補だけを推薦。

 青森県内JAグループの幹部らでつくる県農協農政対策委員会(委員長=岡山時夫JA青森中央会会長)は、自民党公認候補を推薦せず、日本共産党、生活の党、無所属(前JA青森中央会会長)の3候補の推薦を決めています。これを受けて、県農業者政治連盟は、生活の党と無所属の2候補の支援を決め、日本共産党候補の支援も近く正式発表する予定です。

たとえ“反対”でも自民候補
入れればTPP推進になる

画像 選挙区で自民党候補の推薦を見送る農政連が相次ぐなか、多くの農政連が比例代表で山田俊男氏を「組織内候補」として推薦し、各地のJAの施設に山田氏のポスターが目立っています。あるJAの施設には安倍首相と山田氏のツーショットの自民党ポスターが張り巡らされています。

 各地で「公約違反の自民党からでている候補は応援できない」「なぜ自民党だ」などの不満の声がわき起こっています。

 山田氏が「JA代表」だとして「TPP参加反対」を訴えても、TPP推進の自民党比例候補であることにはかわりありません。

 比例区は政党名か候補者個人名のいずれかで投票しますが、山田候補の名前で投票したとしても自民党比例票となり、自民党の議席に確実に結びついてしまいます。

 「TPP反対」の願いを込めて山田氏に投票したら「TPP信任票」に化けてしまうのです。TPPに反対のあなた、それでも自民党に入れますか?

(新聞「農民」2013.7.8付)
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2013年7月

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