米先物取引
試験上場期間まもなく終了
官・民そろって存続をたくらむ
不合格明らか、キッパリ廃止を
2011年7月1日、関係者の強い反対にもかかわらず民主党政権が東京穀物商品取引所(東京穀取)と関西商品取引所(関西商取)に認可した米の先物取引の試験上場。この7月で2年間の試験期間が終了します。試験にパスして本上場に移行するか、不合格で認可を打ち切るか、結論が迫られています。
直後から停滞し
東京穀取解散へ
両取引所とも華々しいスタートを切りましたが、直後から取引は停滞し、ついに浮上することなく2年がたとうとしています。その中身も同一の業者による自己売買の繰り返しや、一業者が9割も独占する(円グラフ)などの異常な取引もありました。なかでも目標の1割にも届かなかった東京穀取は、経営不振で今年2月、ついに解散に追い込まれました。
安定供給が大事な主食の米を投機の対象にする先物取引には、当業者(生産者や米業者)の参加が得られず、うまみのなさから投機筋にもそっぽを向かれた結果にほかなりません。
政府・農水省は認可の根拠を「一定の取引が見込めないとはいえない」(=一定の取引は見込める)としてきましたが、2年間の実績は認可の誤りを明白にしています。
継続議論が活発
いま警戒が必要
ところが取引所や関係業者は「コメ試験上場検証特別委員会」を発足させ米先物取引の継続と活性化へ議論を始めました。一方、政府・農水省の米先物取引を存続させようとする動きにも警戒が必要です。5月29日付の日経新聞は「試験上場延長の公算」との見出しで、「東京穀取の解散に際して農水省は、米部門を監督権限のある大阪堂島商品取引所(関西商取が社名変更)への譲渡にこだわった」と報じています。
実際、東京穀取の大豆や小豆など米以外の農産物は東京商品取引所に移管されています。そもそも一昨年の認可を受けた東京穀取の社長・渡辺好明氏は農水省の元事務次官で、認可当時、「天下り先の確保」などと報じられていました。
また、農水省は2011年12月から、先物取引の情報を農水省のホームページ上で発信を始めており、農水省自身が先物取引の存続に躍起になっていることを示しています。
“認可は暴挙”と
撤回求めた自民
民主党政権が米先物取引を認可した7月1日に、自民党は農林部会名で認可は「暴挙」とし、断固反対を強調。認可の即時撤回を求め抗議声明を発表しています。自民党と安倍政権が2年前の言動をどう実行するのか鋭く問われています。
世界的な食糧不足のもとで何よりも安定した米の生産と流通が求められている今、バブルをあおり、見せかけの景気浮揚策をとる「アベノミクス」や、何でも金もうけの対象にするTPPへの参加表明などの危険な流れに乗って、米先物取引の存続と活性化を図ることなど許されません。試験上場で不合格が明白となった先物取引は、ルール通りキッパリ廃止すべきです。
(農民連ふるさとネットワーク 横山昭三)
(新聞「農民」2013.7.1付)
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