「農民」記事データベース20130617-1073-11

岩手 なたねシリーズ

あぶらを搾る
(3)


昔の母の味、品質も純粋に

 私の里では、冬になるとツバキ油を搾り、地方独特な作り方のけんちん汁を食べる風習がありました。いつのころからか、大量生産の安価な油に代わり、味も微妙に変わって、食卓から遠のいていきました。ナタネ栽培を始め、昔ながらの圧搾法で搾った純粋な油で、もしやと作ったけんちん汁が、昔の母の味になったとき、本物の油の料理に与える味を知りました。

 キザキノナタネは寒冷地向けの無エルシン酸ナタネの一つです。油にはいろいろな脂肪酸が含まれ、中にはエルシン酸のように心機能障害の心配のある脂肪酸もありキザキノナタネはそれを改良開発した品種なのです。

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純粋な油を使って料理

 脂肪酸のバランスがよく、特にオレイン酸という、酸化安定性に優れ、善玉コレステロール(HDL)を保ち、悪玉コレステロール(LDL)を低下させて生活習慣病予防につなげる脂肪酸を多く含みます。また、抗酸化成分のビタミンE族も多く、更には心疾患や脳疾患に悪影響のある脂肪酸は植物性油のなかでは最も少なく、安心して食べられる油なのです。環境にも優しく湯分解に優れ、洗剤使用を抑え、川や海に行っても栄養分になっても害にならないのは驚くべきことです。

 日本食衰退のなかで米消費が激減しているのに対し、激増している油の摂取。とりすぎによる生活習慣病の心配がある昨今、本物のよい油を食べなければならないことの大切さを、真剣に考えたいものです。

(つづく)
(工房地あぶら 伊東庚子)

(新聞「農民」2013.6.17付)
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2013年6月

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