「農民」記事データベース20130603-1071-09

岩手 なたねシリーズ

あぶらを搾る
(1)


キザキノナタネとの出合い

 岩手県の県南、一関の5月は柔らかな赤や黄やもえ木色の様々な木々の芽吹きが織りなすセピア色の「春紅葉」から始まります。そのふもとに、ひときわ鮮やかで見事に真っ黄色な菜の花畑が今あちこちに広がっています。

 脂肪酸のバランスがよく、体によく、寒冷地でも栽培可能な品種の「キザキノナタネ」を知ったのは今から22年前。折しも現代の食油の摂取量の多い食生活の中で、大量生産され出回っている食油の及ぼす影響に懸念を抱いていたときのことです。灯台元暗しとはこのこと、その品種は私の住む岩手県で改良されていたのでした。そのことに注目したのは当時の農民連全国代表常任委員の小林節夫さんでした。

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一面に広がる菜の花畑(一関市)

 小林代表常任委員が全国に呼びかけ、盛岡市にある東北農業試験場の蒸し暑い会場に150人ほどの農民連の仲間が集まり、ギューギュー詰めになって、熱心に講義を受け畑の見学をしたことを、今でも鮮明に覚えています。以来、畑を借りてナタネの栽培を続け、現在に至っています。

 8年前、近くの農家が一緒にナタネを作りたいと訪れ、そのことに端を発して、油料理の多い現代食に不安を感じている農家のおばさんたちを中心に栽培が広まり、更に現在は農家組合の参加も増え、一関のあちこちに菜の花畑が復活しました。

 思えばキザキノナタネとの出合いは、農民連に入会したばかりの私に、心から本気で身を投じ、脱サラの決心もさせた農民連との出合いでもあったのです。

(つづく)
(工房地あぶら 伊東庚子)

(新聞「農民」2013.6.3付)
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2013年6月

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