「農民」記事データベース20130527-1070-09

学校給食費を半額補助

子どもの教育に力入れ
直営方式で親の負担軽く

神崎町(千葉)


 民間委託や巨大センター方式など、学校給食を「効率化」する動きが広がっているなかで、直営方式を守り、町内全ての児童・生徒を対象に給食費を半額補助している自治体があります。人口6500人の千葉県でも最も小さな町、神崎(こうざき)町です。自校直営方式、地産地消の学校給食を求めて、千葉県内で運動を続けてきた千葉県食文化研究会が5月13日、神崎町を視察に訪れました。

 神崎町のキャッチフレーズは「発酵と教育の町」。利根川の豊富な水源に根差した日本酒などの発酵・醸造文化が昔から盛んで、これらを生かした町づくりと、子どもの教育に力を入れる町政が続けられてきました。現在では、中学3年生までの医療費の全額補助や、第3子の保育園の保育料無料化などを実現しています。学校給食費の半額補助も、こうした子育て支援の一環として実施されています。

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神崎町の給食センター

 給食は神崎小学校の敷地内にある給食センターで、町内の小学校2校と中学校1校の540人分が直営方式で作られており、献立は週4回が米飯給食、週1回がパンまたはめん類です。

 注目すべきは1食あたりの給食費。小学校給食が224円、中学校給食が259円という安さで、月額でも小学校は3800円、中学校は4400円。2012年からは、さらにここから半額が補助されています(就学援助を受けている子どもは全額補助)。

 参加者からさっそく「月額で5000円を超える自治体が多いというのに、神崎町ではどうしてこんなに安くできるのか」という質問があがりました。じつは神崎町でも10年ほど前に民間委託が検討されたことがありました。日本共産党の町議の臼方馨さん(当時)がこの問題を町議会でとりあげ、民間委託と直営方式の経費を試算した結果、意外にも直営方式の方が安く済むことがわかり、学校給食は教育の一環であることも踏まえて、全会一致で直営方式の継続を決めた経緯があります。

 いま食材費を抑えることができているのも、直営方式で、なるべく地元産の食材を使う給食作りが守られ、地域の農家や業者も協力していることの反映なのです。

 視察を終えて、食文化研究会代表の雨宮正子さんが、「TPPに参加するようなことになれば、国民・住民の要求に応えた学校給食も困難になってしまいます。なんとしてもTPP参加を阻止するよう、運動を強めていきましょう」と訴え、参加者も大きな拍手で応えていました。

(新聞「農民」2013.5.27付)
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2013年5月

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