シリーズ
食品表示を考える
[3]
主婦連事務局長 佐野真理子
新食品表示法案の特徴と課題
新食品表示法案が4月5日、閣議決定されたので、法案について述べたいと思います。一言で言うと「すべては今後の国会審議と制定後の対応次第」です。
法案は、食品衛生法、JAS法、健康増進法の3法の表示規定を統合し、「包括的」「一元的」な食品表示制度を導入するとしています。これまで食品衛生法は「衛生上の危害防止」、JAS法は「品質の確保」、健康増進法は「国民の健康増進」というそれぞれの目的がありました。それが表示に限っては新法のもとに整合化されます。
法案の特徴としては「消費者の権利の尊重」を明記したこと、「酒類表示」も規制範囲に含めることが挙げられます。また違反表示には指示・命令を課し、命令違反には罰則を適用、緊急時には食品回収や業務停止も発動できるようにしました。その法執行では立入検査や文書提出命令の規定も盛り込んでいます。
「何人」(なんびと)も調査などの申し出ができる「申出制度」を導入し、適格消費者団体には差止請求権を付与することも明記されました。
|
新食品表示法案を審議する国会 |
ただし、課題も目立ちます。栄養表示の義務化は法施行から5年以内で実施が遅れること、申出制度ではその結果を申出者に通知する規定が明記されていないこと、法執行体制の整備では地方との連携が不十分なこと、などです。
大きな課題は、加工食品の原料原産地、食品添加物、遺伝子組み換え食品などの表示の見直しが法施行後に先延ばしされたこと。この点は消費者の意見が反映される検討体制の整備が重要です。
(つづく)
(月1回掲載)
(新聞「農民」2013.5.6付)
|