生産者乳価引き上げ交渉に
政府はイニシアチブとれ
農水省に
農民連・畜全協が要請
現在、乳価は生乳生産者団体と乳業メーカーの当事者同士でする乳価交渉で決まる制度になっています。しかし今年は乳価交渉が難航しています。生産コストの上昇に見合った乳価への引き上げを求める生産者団体に対し、乳業メーカーが「消費者やスーパー、小売業者の理解が得られないから」という理由で要求を拒否しているのです。
この問題で、農民連と畜全協(畜産農民全国協議会)は4月24日、農水省に対し、乳価交渉を当事者まかせにせず、政府がイニシアチブを発揮するよう、要請を行いました。
農民連・畜全協は、「2008年の飼料高騰時には、農水省と生産者団体と乳業メーカーと小売業界で協議会をつくって、期中でも乳価を改定させた。今回も同様に国がイニシアチブを発揮すべき」、「この飼料価格の上昇は酪農家がどんなに合理化の努力をしても、その努力を吹っ飛ばしてしまう」などの切実な声が上がりました。
また、「今回の飼料価格の高騰は“アベノミクス”による円安も原因であり、そのつけを酪農民にしわ寄せするのはとんでもない。政府の責任で対処すべきで、乳価引き上げのためのイニシアチブは当然だ」と追及しました。
農水省は、「国が乳価交渉に関与するのは難しい」との建前通りの態度を崩しませんでしたが、「今の乳価は生産コストの上昇を反映しておらず、安すぎる」「農家が再生産できないような価格ではいけない」という認識では一致しました。
かさねて農民連・畜全協は、「酪農家や畜産農家が日本からいなくなるような事態は、乳業メーカーや国民生活にも影響を及ぼす。生産者の困難が消費者にも伝わるよう、政府も本腰を入れるべきだ」と求めました。
また農民連は国産飼料の増産体制の強化も要求。農水省も「食料自給率向上にも、畜産経営の改善にも、国産飼料の増産が必要。さまざまな助成措置を用意しているので、ぜひ活用してもらいたい」と回答しました。
(新聞「農民」2013.5.6付)
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