核兵器廃絶・原発依存やめよ
「“収束宣言”撤回せず」に批判も
日本原水協が原発シンポ
原水爆禁止日本協議会(日本原水協)は4月11日、東京・全労連会館で、「シンポジウム 原発、核兵器、私達の未来パートIII」を開き、日本共産党福島県議団長の神山悦子さん、核・エネルギー問題情報センター事務局長の舘野淳さん、原水協代表理事の高草木博さんがパネリストを務めました。
神山さんは、原発事故「収束宣言」後、実態はまったく変わっていないことから、(1)県内10基の原発廃炉、(2)「人災」と認めること、(3)「収束宣言」撤回―がオール福島の声になっていること、安倍首相が福島視察の際に「原発は必要」と発言したことに、県民は怒りの声を上げていることなどを紹介しました。
舘野さんは、「事故を起こした3つの原子炉は1日100トン、合計300トンの水を循環させ、ひたすら冷やすしか方法がなく、事故を起こせば熱を制御するのがきわめて困難な欠陥品だ」と告発しました。さらに、「高濃度汚染水がたまる原子炉建屋やタービン建屋は地下水でつながり、その循環システムに、原因不明の地下水が毎日400トン流れ込み、処理できずにたまり続けている」と説明しました。
このように、汚染水の処理さえできずに、収束作業の再検討が迫られているにもかかわらず「収束宣言」を撤回しない政府を批判しました。
高草木さんは、福島の現状を受け、核兵器廃絶と原発依存からの転換が必要だと強調しました。
特に、「1960年代のジョンソン米大統領と佐藤栄作首相との密約会合で、アメリカの日本への原発輸出は『日本を要さい化する国際戦略の一部』と位置づけられた」ことを紹介しました。
そして、レーガン米政権の下で、物質の管理を日本に譲り、短期に核大国へと進むのに十分な核物質と技術を可能にしたことを、アメリカの情報公開法によって取得した資料に基づき報告しました。
この「自前の核」について、1992年4月9日、共産党の吉岡吉典参院議員(当時)が質問で「当面、核兵器は保有しない政策をとるが、核兵器製造の経済的・技術的ポテンシャル(潜在力)は常に保持する」と、日本政府の姿勢を確認していることも報告しました。
シンポの最後に、神山さんは、「福島第一原発1号機の建設前に共産党福島県委員会が『建設反対声明』を発表したが、原発は作られた。しかし、事故を受け、東北電力は計画していた『浪江・小高原発』の建設を中止した。国と東電は、原発事故の責任を明確にし、福島へのさまざまな対策を行うよう求める」と発言を終えました。
(農民連常任委員 齋藤敏之)
(新聞「農民」2013.5.6付)
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