「農民」記事データベース20130506-1068-01

4.26 省庁・東電に要求行動

犠牲者では終わらない

福島県農民連

関連/TPP参加を止める!5・25大集会


“収束宣言”撤回しろ
国は責任を果たせ

省庁交渉

 福島県農民連は4月26日、大型バス3台を連ねて約100人が上京し、全国の農民連とともに福島原発事故の全面賠償を求めて、首相官邸前での抗議行動や、各省庁や東京電力との交渉に取り組みました。

 参議院議員会館で行われた省庁交渉はまず、経済産業省、文部科学省、環境省と行われました。

 経産省には、原発事故の“収束宣言”の撤回や、加害者である東電が一方的に賠償基準を決めるような態度をやめるよう、東電に強く指導し、守らせることなどを要求しました。経産省は「福島原発はたしかにまだリスクがある」と認めながら、「“収束宣言”は民主党政権による政治的判断で出されたもの。現政権では、“収束”という表現は使っていない」などと強弁。

 参加者からいっせいに「だったらきちんと撤回を明言しろ!」「2年たっても何の進展もない。それは収束宣言がそもそも間違っているからだ。国が責任をとれ!」など、怒号がわきおこりました。

 また東電は、事実上国有化された後、中間指針で類型化されていない損害に対して、一切賠償せず、「文句があるなら第三者機関に提訴しろ」という問答無用の姿勢に変わってきています。また、東電の現地担当者が認めた損害を、本社審査で拒否する事例も激増していることから、「個別の事案に誠実に賠償するよう、指導強化するべき」と求めました。

 つづいて行われた農水省との交渉では、東電が賠償を拒んでいるサクランボなどの被覆資材の取り換え費用の補償を要求。農水省は、「通達ではベタがけ資材を例にあげて廃棄を指示したが、農水省としてもサクランボなどの被覆資材も同様のものとして賠償されるべきと考える。東電にもそう説明したい」と、明確に答弁しました。

 また、実測に基づく農地一筆ごとの「土壌汚染マップ」の作成も要求。農水省が公表している空間線量から土壌汚染を推定した汚染マップは、福島県農民連が実測した汚染数値とかけ離れている実例が多数あることを指摘し、「空間線量が1マイクロシーベルトを超える果樹園もある。そういうなかで作業する農民の健康対策を真剣に考えてほしい」「自分の農地の汚染実態がわからなければ、対策の立てようもない」と訴えました。

東電交渉

画像 東京電力との交渉では、事前に具体的事例をあげた11項目の申入書への回答を求めました。しかし東電は、ほぼゼロ回答に終始しました。

 農水省が「賠償されるべき」と明言したサクランボの被覆資材費用の件では、東電の不誠実な回答に激怒した参加者の追及に押されて、その場で農水省の担当者に電話し、農水省の見解を確認。やっと「農水省の見解は東電としても大きな判断材料になる」とのべ、7月26日までに再回答することを約束しました。

 また、2012年から稲の収穫はコンバインでするよう県から通知が出されていますが、手刈りやバインダー刈りの農家は、コンバインを所有する他の農家に作業委託しなければならず、東京電力はこの追加費用の支払いも、「相当因果関係がない」と拒否しています。

 交渉ではなんと、「この通知には“なるべく”コンバインを使用するようにと書いてあるだけだから、“余儀なくされた”出費とは言えず、相当因果関係とはいえない」と回答。すかさず参加者から「原発事故がなかったら、こんな出費はなかったんだ!」「言葉遊びするな」と怒号が飛びました。結局、この項目も農水省の見解を確認したうえで、5月26日までに再回答することを約束しました。

ブランド一瞬で粉砕

官邸前行動

 原発ゼロ・全面賠償を求める官邸前行動では、農民連の笹渡義夫事務局長が、「原発事故の収束、原発ゼロ、全面賠償めざしてともにたたかおう」と主催者あいさつ。被災地を代表して、福島県農民連の根本敬事務局長が「われわれが犠牲者で終わらないためにも、国と東電の責任逃れを許さないたたかいを進めよう」と呼びかけました。

画像
「きれいな福島を返せ!」と怒りをぶつける参加者=官邸前

 福島から農家が発言。伊達市であんぽ柿をつくる八巻順一郎さんが「ブランドが一瞬で粉砕してしまった。いまだに柿の木も農地も汚染されている。5、6年は作物を作れない」と述べ、須賀川農民連のお母ちゃんたち3人は「福島のリンゴはおいしいんです。でも、出荷するときはすべて検査しなければならない。値段は元に戻らない。早く元の生活に戻れるようにしてください」と悲痛な思いをぶつけました。

 全労連の小田川義和事務局長、新日本婦人の会の石原和中央常任委員、ふくしま共同復興センターの小川英雄事務局次長が連帯のあいさつをしました。千葉県農民連の森吉秀樹事務局次長が、連帯してがんばる決意を述べました。

 日本共産党の紙智子参院議員が激励しました。


TPP参加を止める!5・25大集会
日   時 5月25日(土)
会   場 芝公園23号地(東京都港区・東京プリンスホテル裏)
      (地下鉄三田線「御成門」徒歩5分、「芝公園」徒歩10分
      地下鉄大江戸線「大門」徒歩10分)
プログラム 12時〜 プレイベント・音楽ライブなど
      12時半〜 集会(各界・各分野、地域からのアピール、
       国会議員のアピール、金子勝さん=慶應義塾大学教授)
      午後1時45分〜 デモ出発(銀座〜東京駅そば鍛治屋橋駐車場)
      4時 解散(予定)
呼びかけ  STOP TPP!! 市民アクション
連 絡 先 国民の食糧と健康を守る運動全国連絡会(全国食健連)
       TEL03(3372)6112

(新聞「農民」2013.5.6付)
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2013年5月

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