旬の味
窓の外で春の嵐が吹き荒れている。これで名残の桜も散っただろう。母が農業委員に立候補することになり、その準備などで忙しくしている間に桜は終わった▼就農して二十数年、「少しでも、町の農業のためにできることを」という本人のたっての希望だった。「応援するよ、がんばりな」と背中を押してくれる人も大勢いる。しかし、同時に、「よそ者が農業委員なんて」という声も聞こえる▼20年以上もいて、よそ者もないもんだ、と近所のおじさんが笑う。けれど、近くに親戚のいない母は、選挙に受からないかもしれない。母は、落ちたらもう立候補しないと言う。これが最初で最後の挑戦だと▼町の広報を見ると、長野県阿南町の高齢化率は40%近い。農業者の高齢化はおそらくこれ以上だ。このままでは近い将来、町の寿命が尽きてしまうのでは、と不安になる▼この町で生まれ育った私としては、地域に寄り添って暮らしてくれるなら、どこから来た者だっていいではないか、というのが素直な思いだ。 (よ)
(新聞「農民」2013.4.22付)
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[2013年4月]
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