この人
沖縄でワケギを栽培する
嘉数 誠さん(40)
台風や病気に負けずものづくり
そばやうどんなどに薬味として入っている青ネギの一種、ワケギ。地味な存在ですが、そばやうどんの味を引き立たせる役割を果たしています。
那覇市でワケギを栽培する嘉数誠さん(40)。父親の進さん(73)をはじめ、一家で分担して露地野菜の栽培、出荷作業に忙しい毎日です。
誠さんは就農して18年。就農した当時は、まだバブルでしたが、2、3年するとバブルもはじけ、景気も悪くなりました。しかし、生産意欲を失わず、ホウレンソウ、ゴーヤー、ネギなどあらゆる作物に挑戦してきました。
最近はニラを中心につくっていましたが、昨年、立て続けに大きな台風が来襲。ニラも大きな被害を受けました。
誠さんは急きょ、ワケギに切り替えて、得意先の生協やスーパーなどに出荷しています。ワケギは、球根で植え付けをして、1カ月ほどで収穫できます。
「収穫の時期は朝から晩まで大変です」と話す誠さん。背丈が20〜30センチメートルになると収穫でき、再び球根を植え付けして、1カ月ほどで収穫するという作業の繰り返しです。
沖縄そばに欠かせないワケギですが、他の野菜のように単独で口に入ることはなく、消費者から「おいしいね」「いい味だね」という感想を寄せてもらうことはほとんどありません。あくまでも主役の引き立て役という縁の下の力持ちです。
しかし、誠さんは、「台風や病気とのたたかいですが、香りがよく、いいものができて収入に結びついたときはうれしい」と喜びを語ります。
「これはすぐに出荷できます」。ハウスの中の青々としたワケギを見つめながら、うれしそうな表情を浮かべていた誠さん。時期が来れば、ニラやネギの栽培を再開する予定です。
(新聞「農民」2013.4.22付)
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