農民連 全国代表者会議開く
TPP反対
たたかいはこれから!
会員・読者拡大も前進へ
農民連は4月3、4の両日、都内で全国代表者会議を開き、「TPPへの参加反対のたたかいとあわせて、会員と新聞『農民』読者の拡大に勇躍して取り組もう。たたかいはこれから。TPP推進勢力に参院選で審判を」と決意を固め合いました。
参院選で推進勢力に審判を
白石淳一会長が開会あいさつを行い、「安倍首相が国民の強い反対の声を無視してTPP交渉への参加を表明し、たたかいは新たな局面に入った。会議の目的は、TPPをめぐる現局面を正確に分析して共有し、今後のたたかいの方向性について意思統一を図ること。同時に春の大運動の到達点、教訓を確認し、たたかいの諸課題とあわせた会員と読者拡大の今後の取り組みについて、決意を固め合うこと」だと述べました。
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「たたかいはこれから」と決意を固め合った全国代表者会議 |
日米で解釈が食い違っている
東京大学大学院の鈴木宜弘教授が「TPPをめぐる現局面と阻止する展望」について、ユーモアと笑いを交えて講演。安倍首相は「聖域なき関税撤廃を前提としないことを明示的に確認した」と交渉参加に向けて舵(かじ)を切りましたが、アメリカ政府は、農業界に対しては、「日本はすべての農産物関税を撤廃するというアメリカの目的を理解した」と説明し、「日米で解釈が真っ向から食い違っている」と批判しました。
さらに、「TPPで守るべき国益が決議されたが、自動車の税制・安全基準の維持、数値目標の拒否や保険での日本の特性の維持などは守るどころか、逆に、『前払い』することを確約された」と指摘しました。
鈴木教授は、農業が地域のコミュニティーの基盤を形成していることを実感し、食料が身近で手に入り、地域住民と農家が支え合うプロジェクトの必要を訴えました。
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「有権者に対する信じがたい背信行為だ」と自民党を糾弾する鈴木教授 |
推進派が強調の攻めの農業批判
笹渡義夫事務局長が報告し、今後のたたかいの基本的な柱として、(1)参院選でTPP推進勢力に審判を下すことに全力をあげる(2)TPPの危険性と安倍首相の欺まんを徹底して暴露し、TPPへの幻想を払しょくする学習を強める(3)全国全地域で立場を超えた「共闘組織」を無数に張り巡らせる(4)このたたかいを通じて組織を拡大・強化する―ことを提起しました。
真嶋良孝副会長は、TPP推進派が強調する「攻めの農業」について反論。「カロリー自給率にこだわるのはナンセンス」として、穀物・飼料の増産、自給率向上政策を放棄させる一方で、「野菜生産に力を集中するべきだ」とする議論が横行していることを批判しました。
また、「政府の試算でも、TPP参加で小麦、ビート、サトウキビ、でん粉原料用ジャガイモなど北海道と沖縄の畑作生産が壊滅する。さらにこれらの生産を野菜に振り向けたら、野菜の超過生産と大暴落は必至だ」と指摘しました。
さらに「家族経営農業こそが持続可能であり、地球を救う」と述べ、(1)農産物の輸入自由化をやめ、輸入をコントロールする(2)主要な農産物の生産コストを償う価格保障と所得補償を組み合わせた価格・経営安定対策を確立すること(3)後継者確保に力を入れ、“老壮青”のバランスのとれた農業にする必要を語りました。
学習も宣伝も各地で工夫して
討論では17人が発言しました。TPPの本質を暴露する学習の点では、和歌山県連の平野友基さんが「学習会の講師で呼ばれると『米づくりをやめ、水田がなくなると洪水が起こりやすくなる』と説明している。昨年の洪水被害と結びつけて話している」と語りました。
宣伝でも各地で工夫した取り組みが広がっています。富山県連の水越久男さんは「TPP反対の缶バッジを日常着けていると、注目され宣伝になる。軽トラックや携帯電話にもメッセージを着けるなど、知恵と力を尽くすことが大事」だと述べました。千葉県連の大木伝一郎さんは、牛やヤギなどの家畜、佐倉惣五郎や五人娘の衣装まで、総動員しながら参加阻止の運動を広げていることを紹介しました。
こうした運動に取り組みながら、各地で農家のくらしと経営を支え、さまざまな要求を取り上げながら組織を拡大している経験が語られました。宮崎県連の来住誠太郎さんは、経営の悪化で農家の切実な要求である免税軽油の取り組みで、会員550人の目標を達成したことを報告。奈良県連の竹島茂直さんは、複式簿記や相続の相談、ホウレンソウの畑まわり勉強会など、多様な要求に応えながら拡大に取り組む重要性を語りました。
福島県連の亀田俊英さんは、損害賠償請求や太陽光発電など、福島ならではの取り組みで、会員を増やした経験を述べました。
国際的意義もつ参加阻止の運動
まとめで笹渡事務局長は、「TPP参加阻止のたたかいは、日本だけではない。アメリカやオーストラリア、ニュージーランドなどでも広がっている。国際連帯の取り組みの一環として、国際的農民組織、ビア・カンペシーナの国際総会(インドネシア・ジャカルタ)に代表を送ろう」と述べ、そのためのカンパを呼びかけました。
(新聞「農民」2013.4.15付)
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