シリーズ
食品表示を考える
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主婦連事務局長 佐野真理子
不思議な原料原産地表示
消費者は納得ある食品を入手するため表示を目安にします。ところが知りたい表示以上に、不透明な表示のオンパレードです。
加工食品の原料原産地表示も同様です。現在は22品目群と4品目を対象に、原料の「品質の差異」が加工食品に反映されることを前提に、「重量割合50%以上」を表示することになっています。そのため多くの矛盾を生んでいます。
例えば、黒糖加工品は、重量が50%未満の黒糖パンや黒糖かりんとうは表示対象外です。また、国産レタス70%と中国産キャベツ30%を混合したカット野菜は「原材料名レタス(国産)・キャベツ」と表示されても問題にはなりません。
さらに、水煮製品は表示の対象ですが、これにしょうゆや砂糖・みりんなどを加え加熱すると対象外。炒(い)ったり揚げたりした落花生は表示対象、でも砂糖をからめると対象外になります。現在の加工食品の原料原産地表示にはあまりに「すき間」が多いのが実態です。
EU(欧州連合)は、任意の原産国・原産地表示でも、その表示がないと消費者の誤解を招く恐れがある場合には義務化することを規則で定めています。
韓国では加工食品約260品目を対象に、原料原産地表示を義務化しています。
消費者庁が準備する「食品表示法案」は日本の遅れた状況をどう改善するのでしょうか。法案は4月上旬にまとまる予定ですが、その内容をきちんと監視する必要があります。
(つづく)
(月1回掲載)
(新聞「農民」2013.4.8付)
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