「農民」記事データベース20130408-1064-09

亡国・亡農のTPP交渉参加
撤回せよ
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沖縄からサトウキビが消える

玉城(たまぐすく)さとうきび生産組合長
玉城農民組合役員 玉城(たまき)健(つよし)さん(55)

 いま沖縄では、農業をはじめ、行政、医療、建設業、生協など「オール沖縄」で、安倍首相によるTPP交渉への参加表明に対し、「なんとしても交渉参加を阻止しよう」という機運が盛り上がっています。

 サトウキビに代わる作物ない

 県都、那覇市に近い南城市でサトウキビを生産する玉城健さんは、農家約400人で構成する「玉城さとうきび生産組合」の組合長を務め、玉城農民組合の役員です。

 県内の農産物産出額は920億円。そのうち甘味資源作物(サトウキビ)は197億円で、基幹作物です。サトウキビは、強風で茎が折れても何とか収穫できる、12月後半から3月が収穫期であるなど、台風に強く沖縄に適した作物です。それにとって代わる作物はないといってもいいほどです。

 それでも昨年は、相次ぐ台風の襲来により、サトウキビは歴史的な打撃を受けました。「葉が台風で飛ばされてしまうと、再び生えてきた葉に栄養分が取られてしまい、茎に栄養分がいかなくなる。そうなると糖度が下がってしまう」。細くなったサトウキビの茎を手に玉城さんはこう説明します。

 糖度は、昨年が平均14・0度だったのに対し、今年は2月下旬までの平均が13・3度でマイナス0・7度です。生産量も糖度も下がり、農家の手取りは確実に減っています。

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台風でダメージを受けたサトウキビを手にする玉城さん

TPP参加でなく私ら農家が
笑顔で農業できる農政を

 生産減少率百%農家いなくなる

 不作に追い打ちをかけるように、TPP交渉への参加表明。同時に政府が公表した影響試算によれば、砂糖は約1500億円の生産減少額で、100%減になり、すべて外国産に置き換わるとされています。県の試算でも、197億円の減で生産額減少率は100%。「サトウキビ農家が沖縄からいなくなる」という現実に直面しています。

 砂糖は、加工製品で外国産と品質に差がなく、差別化ができません。TPPで、沖縄本島全体のサトウキビの耕地面積をわずか10人程度で耕作し、価格も10分の1程度のオーストラリアからの輸入が増えたら、県内農家は太刀打ちできません。

 砂糖は現在、328%という高関税率で、外国産の輸入から守られています。砂糖は価格調整制度が実施されていて、海外から輸入する砂糖から関税として調整金をとって、それを国内農家への交付金にあてています。この制度がサトウキビ産業を支えています。

 交付金なしだと大幅減収となる

 TPPで関税が撤廃されれば、安価な外国産が湯水のように流入してくるばかりでなく、交付金の財源がなくなり、調整制度が根本から崩れ、収入減は避けられません。

 玉城さんの場合は、トンあたり1万6000円の交付金を受けています。昨年のサトウキビの収入は110万円でしたが、今年は40万円減の70万円でした。交付金がなくなれば、大幅減収となります。

 「参加表明によって、農家が生産意欲をなくしてしまうことが心配。がんばって作っている人が農地を手放せば、ますます耕作放棄地が増えるだろう。美(ちゅ)ら島、沖縄のシンボル、サトウキビ畑のきれいな景観が失われ、観光にも影響がでるだろう」。危機感を募らせる玉城さんはこう断言します。

 「いまやるべきなのは、TPP参加ではなく、がんばっている農家が笑顔で農業ができる農政を実現することだ」

(新聞「農民」2013.4.8付)
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2013年4月

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