「農民」記事データベース20130401-1063-07

この人

新規就農、有機野菜を作る
静岡・藤枝市 山口文隆さん(28)


人のつながりを大事にしたい

画像 「コンビニ弁当やカップラーメンばかりの若者の食生活を変え、農業の大切さを知らせたい」――。静岡県藤枝市で有機野菜を多種栽培する山口文隆さん(28)の熱いメッセージです。

 大学時代、薬学部で学んだ山口さん自らも、食生活が原因で体を壊した経験があります。卒業後は、すぐに薬剤師の資格を取り、ドラッグストアに就職。3年間勤めた後、退職して約1年、海外で旅をします。

 しかし、学生時代から「生まれ育った藤枝でいつかは農業をやりたい」と、秘めたる希望をもっていました。

 帰国してから、栃木、奈良、宮崎などを転々とし、農業の研修を積みました。土地を確保できずに苦労している農家の姿もみてきました。そこから「農家は人のつながりが大事」と自覚します。

 かねてからの念願が叶い、藤枝で有機農業を実践していた大坂俊広さんのもとで研修を積み、昨年から、親せきや知人に土地を借りて、有機農業に取り組んでいます。

 畑はあちらこちらに分散していますが、計40アールでトマトを8種類、ナス5種類、ピーマン8種類、キュウリ6種類……。そのほかインゲン、オクラ、ニンジンなどあらゆる野菜の名前があがってきます。

 「農作業自体が楽しいし、試行錯誤しながらでもやったらやってみただけの成果がある」と堪能しています。

 今の販路は、静岡市の八百屋、障害者施設の給食、知りあいのおばあちゃん、朝市の直売など。

 「軽トラックの荷台に旬の野菜を載せて、団地やマンションに住む都市住民に、野菜の説明をしながら対面で、メッセージを伝えて売りたい」と将来の夢を語ります。

 サラリーマンになることを希望していた両親も、休みの日は農作業の手伝いをしてくれます。課題は、土地の確保と販路ですが、近隣の吉田町などでも土地を借りて、地域の人に支えられながら営農を続けています。

 「人とのつながりを大事にしながらさらにつながっていきたい」。新しい目標に向かって歩み始めています。

(新聞「農民」2013.4.1付)
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2013年4月

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