「農民」記事データベース20130401-1063-06

フーデックスをみて

農民連常任委員 齋藤敏之

関連/「力のある農民連」へ一歩ずつ


日本の農産物輸出の
難しさだけが目立つ

 安倍首相はTTP参加表明に向けた記者会見で、「日本の農産物の人気が高まることは間違いない。大分県の日田梨や北海道の特徴を生かした米の輸出が5年間で8倍に増えた」と「攻めの農業」を強調しました。

 15日、北海道新聞は、JA北海道中央会の飛田稔章会長が、「輸出が増えたといってもわずか数十トン。意図的な論理のすり替えだ」と緊急理事会であいさつしたと報道しました。

 この「雪中米」は空知管内沼田町のブランド米で、2005年から台湾の高級スーパー向けに輸出を始め、今年は約45トンを見込むとか。これは、道内の生産量の0・008%とのこと。

 農産物輸出のむずかしさは、3月5日から千葉・幕張メッセで開かれた国際食料品展フーデックス2013の会場でも聞かれました。

 日本のリンゴや米などの輸出をめざす「輸出食品展」のブースに参加した農業生産法人や加工業者、約80社のなかには、「輸出をバラ色にいうが、やってみると、いろんな規制などが多く大変」とか、「今日で3日目だが、具体的な話はほとんどない」など、日本からの輸出の難しさを語る組織もありました。

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海外向け飲食料も目立ったフーデックス2013

 一方、アメリカは、「アメリカンビーフが熟した」、カナダは「大自然の贈り物、カナダビーフ」と、牛肉の売り込みに力を入れていました。

 中国、台湾、韓国のブースで、目を引いたのが野菜の一次加工品。業務向けとして、ほとんどカットされボイル済みのものを、「水煮」の袋詰めか「冷凍物」で、味付け以外の調理の必要が全くないまで加工され、きれいなパッケージで展示。

 今回のフーデックスは、日本国民向けに輸入農産物を拡大するアピールが目立った反面、海外の富裕層向けの輸出は、そんなに単純ではないことと、輸出をめざす企業が小規模なことが目立つ展示会でした。


「力のある農民連」へ一歩ずつ

福井県農民連

今年の米全部農民連に出す
大規模農家から期待

 「力のある県農民連へ」と一歩ずつ足を踏み出しました。

 全国で取り組んでいる農民連の「春の大運動」(1〜3月)で、福井県農民連は、一般新聞にチラシを折り込み、3回に分けて「税金相談会」を開催し、初の取り組みとして「免税軽油相談会」を実施しました。参加した農家からは「よかった」との声も聞かれました。

 この間、非農家会員Kさんの知り合いの米農家に「大手卸業者などが米の流通支配を強めているなか、中小の米屋さんに米が回らない状況があり、何とか協力してほしい」と、農民連への加入と、産地と消費者を米屋さんを通して結ぶ準産直米への参加を呼びかけました。

 「今年の米は全部、農民連に出す」「Kさんにはお世話になっているし、どれだけ米が必要か言ってほしい」など、2人の大規模農家が応えてくれました。

 しかし、2月に1人、3月に1人と、高齢の会員が病気で亡くなり、組織的には一進一退の状況です。

 先日、確保した事務所の改装も終わりました。新たな気持ちで「力のある農民連へ」と、少しずつ歩みだしました。「春の大運動」の最終盤となりますが、今月中に役員会を開き、会員と新聞「農民」の拡大で、意思統一を図ることにしています。

(福井県農民連 玉村正夫)

(新聞「農民」2013.4.1付)
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2013年4月

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