農業・食糧の大切さ主張して
農民連女性部
TPP阻止求め農水省に要請
安倍首相のTPP交渉参加表明に関して、農民連女性部は3月22日、農水省に要請を行い、女性部役員15人をはじめ、笹渡義夫事務局長らが参加しました。
女性部は要請で、(1)関税を維持しようとしている「聖域」の対象品目は何か、(2)日米首脳会談で関税撤廃が基本というTPPの原則に変化があったのか、(3)内閣官房が発表したTPPに参加した際の試算の根拠は何か、(4)交渉内容を秘匿(ひとく)する合意があるといわれているが、国民に十分な情報開示をしてほしい、などの5項目についてただしました。
女性部からは「日本はどんな品目でも作れる豊かな国。農業を破壊し、食料自給率をさらに引き下げるTPPに入ったら、50%の自給率目標は達成できなくなるではないか」という意見があがりました。この意見に、農水省も「人口増大、気候変動など、世界の食糧需給は不安定であり、自給率を高めることは重要だ。たしかにTPPは、輸入国には輸入しない自由を認めていないのに、輸出国には輸出しない自由を認めており、アンフェアなルールになっている」と回答しました。
試算については、「試算したのは内閣官房だが、たしかに疑問はある。今回の試算モデルは本来、損害や被害というマイナスを算出するものではなく、TPPに入ったらこれくらい消費が増え、貿易が伸びて…と、プラスを計る計算モデルと聞いている」と、計算方法の一部を紹介。とたんに、女性たちから「実態に迫っていない、いい加減な試算だ」「被害を小さく見せている」という声が噴出しました。
また「“聖域”が守られない場合は交渉から離脱すればいい、とマスコミなどで報道されているが、そんなことが現実的に可能なのか」という疑問も出されました。農水省は「離脱が議論されているのは自民党内のみで、政府として交渉前から離脱に言及することはない」と述べ、交渉離脱の現実性は、きわめて薄弱であることが明確になりました。
女性たちからは、「TPPに入ったら、もう農業はやめるという農家が地域にはたくさんいる。安倍首相は攻めの農業などというが、交渉の結果、厳しい条件でTPPに加盟することになるとしたら、日本の農業を守る政策をどう考えているのか」という切実な声があがりましたが、農水省からは「交渉次第で…」と明確な回答はありませんでした。
女性たちは最後に、「人間はテレビや車を食べては生きていけない。農業や食糧供給を担うのは農水省だけなのだから、財界や経済産業省などの推進派に負けないで、農業や食糧の大切さを力いっぱい主張して、TPP参加を阻止してほしい。農水省、がんばって!」と訴えました。
(新聞「農民」2013.4.1付)
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