TPP
アメリカでも批判高まる
労組など国際的連携強化の動き
安倍首相が「アメリカと共に新しい経済圏を作る」と言って交渉参加を表明したTPP―。しかし、アメリカ国内では、関心は低いのが実情。それどころか、交渉内容が明らかになるにつれて批判が強まり、「食糧主権」や「労働者の権利」を守れとの声が高まっています。TPP反対での国際的な連携に向けた動きもでています。
幅広い組織が議会に書簡出す
全ての人の利益となる通商協定を―。3月4日、総計1500万人を代表するアメリカの非政府組織(NGO)400団体以上が共同で連邦議会議員に書簡を送付しました。
TPPを含むアメリカ政府が結ぶ通商協定を、投資家と企業のための協定でなく、「アメリカと世界の人々の生活の質を実際に向上させ」、「公正で持続可能な世界経済を築く手段」とするため、議会が役割を果たすよう求める内容でした。
とりわけ、(1)人権と労働者の権利の優先、(2)開発・環境・社会政策の尊重、(3)投資家対国家の紛争解決(ISD)条項の撤廃、(4)食糧主権の保護、(5)ジェネリック医薬品の確保、(6)金融規制の強化、などを要求しています。
食糧主権の項目では、農家が公正な報酬を受け取り、消費者が安全な食品を手に入れるための政府の政策を尊重するよう訴えました。
書簡を出したのは、人権、環境、農業、援助、消費者、宗教団体、労組などの幅広い組織。農業団体の中には、約25万戸の農家が加盟するアメリカ第2の農業団体、全米ファーマーズユニオン(NFU)や、全米家族農業者連合(NFFC)も含まれています。
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ワシントン州で開かれたTPP反対集会(アメリカの市民団体のウェブサイトから) |
日本など3カ国の労組と会議も
1200万人以上が加盟するアメリカ最大の労働組合の中央組織、アメリカ労働総同盟・産業別労働組合会議(AFL―CIO)は2月末に声明を発表しました。
アメリカ政府が追求する北米自由貿易協定(NAFTA)型の貿易モデルが、労働者の権利、賃金、年金、労働条件、食品安全、消費者保護などにおいて「底辺への競争」を推し進めると指摘し、「TPPが現在の貿易モデルとたもとを分かたない限り、労働者は支持できない」と訴えました。
労働組合のTPP反対の動きは国境を越えた連携をみせています。AFL―CIOは4月10日、首都ワシントンで、日本の全労連(全国労働組合総連合)、オーストラリア労働組合評議会(200万人が加盟)、ニュージーランド労働組合評議会(30万人が加盟)などとともに連携強化に向けた会議を開きます。
(新聞「農民」2013.4.1付)
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