TPPの本質
韓米FTAそのもの
韓米FTA院内学習会
韓国人弁護士が指摘
関連/TPPは震災復興に大打撃
農業は壊滅
輸出ふえず
63の法改悪
韓米FTA(自由貿易協定)に学びTPPの問題点を考える学習会が、3月1日、東京大手町のJAビルで開かれました。主催はJA中央会や全国農業会議所、生活クラブ事業連合会などで構成する「TPPから日本の食と暮らし・命を守るネットワーク」。
講師は、昨年8月に農文協から「恐怖の契約米韓FTA―TPPで日本もこうなる」の著者、韓国人弁護士のソン・ギホ氏。
ソン氏は、韓米FTA発効後の1年間の状況を、政府発表の資料をもとに具体的に報告。韓国政府は、「自動車輸出が増える」と言いましたが、いま、国内では関税が下がり、アメリカ産トヨタ「カムリ」の輸入が急増。その反面、アメリカへの輸出は増えていません。
経済主権の問題では、1年間に63の法律を「改正」し、薬価を巡ってアメリカと対立しています。さらに、ISD条項などにより、「韓国政府や公企業への納品で、中小企業を優遇している」と、アメリカが納入基準の改定を要求しています。
自動車の排ガス強化では、アメリカから実施時期の延期要求があるなかで、韓国政府の新たな制度提案に「萎縮効果」が現れています。
農業の分野では、2012年3月15日からの4カ月間の輸入増は、オレンジが133・9%、レモン986・4%。牛肉ではアメリカ産が11年の37・2%から12年には40・6%に増加しています。
ソン氏は、こうした具体的な事実を示した上で、「TPPの本質は、韓米FTAそのものです。農業だけの問題ではなく、アメリカへの輸出は増えないこと、国の制度が変えられることなど、その深刻さがなかなか理解されません」と述べました。
さらに、日本のTPP反対運動への期待を熱意を込めて語りました。
「今もっとも重要なのは、このことを都市住民にじかに感じてもらえる運動をつくることが大事です。そのためには、わかっている事実を、都市の住民にわかりやすく、熱意を持って訴え、その運動を大きく広げていくことだと思います。あわせて、その情報を、大手メディアや国会議員に送りつけることです」
(農民連常任委員 齋藤敏之)
ネットワーク宮城
緊急に反対県民集会
宮城県では、県内26団体でつくる「TPPから食と暮らし・いのちを守るネットワーク宮城」とJAグループ宮城が主催した県民集会が9日、仙台市で行われ、全体で900人、農民連からは9人の参加となりました。会場は“TPP断固反対”と赤い太字で書かれた鉢巻きを締めた人で埋め尽くされ、緊迫した様子が伝わりました。
開会あいさつと情勢報告のあとには、農業、医療、食の安全、法曹に関わる4氏が交渉参加阻止へ向けて決意表明。JA南三陸の組合長は、「震災で管内の南三陸町、気仙沼では多くの人命が失われた。TPPに参加すれば全国有数の農地を持つ宮城県も打撃を受け、TPP大震災に見舞われる」と訴えました。
「今、政府が行うべきは震災復興と原発事故の収束であり、国民生活の安定とくらしの安全を最優先に、復旧・復興にあらゆる手立てを尽くすことが責任である」と決議しました。
(宮城農民連 芳賀緑)
(新聞「農民」2013.3.25付)
|