「農民」記事データベース20130318-1061-05

厚労省主催

BSE意見交換会に参加して
(手記)

福岡・若宮農民組合 藤嶋嘉子さん


ふに落ちないことばかり

 これまで厚生労働省は、牛肉のBSE対策の緩和決定にかかわる問題では、全国でたった5回しか説明会を開いていません。そのうちの1回、福岡市で行われた「輸入食品、特に輸入牛肉の安全確保対策に関する意見交換会」に参加した福岡・若宮農民組合の藤嶋嘉子さんの手記を紹介します。

 「意見交換会」は3時間行われ、厚労省の輸入食品安全対策室長などに続いて、北九州市消費者団体連合会、そしてなぜか日本ハムの重役による会社アピールのような説明に時間がさかれ、消費者との意見交換は約1時間しかありませんでした。

 消費者の権利無視

 会場からは「輸入牛肉の規制緩和が施行されてしまってから、消費者に説明するのはなぜか。パブリックコメントも反対意見が多数であり、消費者の役割や知る権利を軽視しているのではないか」という、まっとうな意見が出されました。

 しかし厚労省は、「すでに大阪や横浜など5カ所で意見交換会を行った。説明が不十分だった点は申し訳ないが、こういった意見を今後の材料にする」と答弁。これは「緩和はもう決まったことで、今さら何を言ってもムダ」ということなのでしょうか。まったく「ふに落ちない」説明でした。

 アメリカだのみの安全性チェック

 検疫所での検査体制についても、「従来と変わらない。輸出国側が対日輸出プログラムを順守する。アメリカ農務省の証明書などで安全を担保する」と言います。しかしこれまでもアメリカ産牛肉の輸入には違反が続出しており、対日輸出プログラムが軽視されることは十分考えられます。“あなたまかせ”のチェック体制もまったく「ふに落ちない」と思いました。

 TPPは関係ない苦しい言い訳重ね

 また厚労省の説明官は、会場からの質問もないのに、「政府としての見解ではTPP参加は決まっていない。TPP参加があろうとなかろうと、食品安全委員会がWTO(世界貿易機関)とSPS協定に基づいてリスクを評価した」と、今回の緩和がTPPとは無関係であるかのような説明をしていました。しかし今回の輸入月齢制限の緩和がアメリカの輸出プログラムに合わせた措置であることは明白です。

 「国産牛を買っているから安心」と思っている人でも、冷凍食品や加工食品、外食産業では輸入牛肉は大量に使用されています。消費者として、安全と安心を求める声をあげ続けなければ、と強く思った説明会でした。

(新聞「農民」2013.3.18付)
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2013年3月

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