「農民」記事データベース20130318-1061-03

農民連交渉

タケノコ・シイタケ賠償せよ

支払い拒否の東電
再検討を約束


画像 農民連は3月6日、福島第一原発事故の損害賠償の問題で、東京電力本社と交渉しました。交渉には、千葉県のタケノコ生産者と長野県の原木シイタケ生産者が参加し、今回はこれらの品目に焦点を絞って交渉を行いました。

 千葉県木更津市はタケノコの産地で、安全基準が改定された昨年4月以降、出荷停止が続いています。今年も出荷シーズンが目前ですが、出荷停止が解除されるかどうかは、いまだ不透明です。

 千葉県農民連からは同市のタケノコ生産者6人が賠償請求しました。しかし東電は、市場出荷の1人を除き、直売所などに出荷していた5人に対しては、いまだに支払いを拒んでいます。

 直売所の商品管理の方法は品目で分類されておらず、帳票類での請求が困難です。5人の生産者は、やむなく千葉県が算出している「10アールあたり250キログラム」という平均収量のデータを用いて請求しました。しかし東電はこの請求方法に対し、「過去の販売実績を証明する帳票類がない」「10アールあたり250キロというデータが妥当かわからない」などを理由として、いまだに支払っていないばかりか、「不満があるなら、文科省の賠償紛争解決センターに提訴してくれ」とさえ言い放っています。

 2週間後までに回答

 この日の交渉では、これまでと変わらない不誠実な回答に対し、生産者からは「もう10年以上もタケノコを作りつづけてきて、下を軽自動車で走れるくらい、美しい竹林に育ててきた。本当は250キロよりもっととれるのに、この悔しさがわかるか」「おいしいと楽しみにしてくれる消費者に食べてもらいたいのに、東電は“払わない”ためのへ理屈ばかりだ」「市場出荷の1人は認められており、本気で調べれば近郷のタケノコの収量はわかるはずだ」という声が相次ぎました。

 東電側もこうした痛切な追及を前に、「県のデータやこれまでに支払った人の例を再度検討し、面積から損害を計算する請求方法や、10アールあたり250キロという数字が妥当か、持ち帰って2週間後までに回答したい」と述べました。

 現地に担当者出向き

 長野県のシイタケ生産者は、作付け断念による逸失利益の算定方法や追加的費用についてただしました。原発事故が原因でシイタケ原木の供給が全国的にひっ迫したことから、この生産者は新たな原木を十分に入手できず、その逸失利益は約460万円に達しています。しかし東電は29万円しか認めていません。

 また、植菌済みの原木が入手できなかったために生産者自ら植菌作業をしましたが、その労賃は「誰かに出費したわけではないので、追加的費用にはならない」などと回答。「とんでもない。東電の計算で承服しなかったら一文も払わないというような高飛車な態度は、許せない」という怒りの声が相次ぎました。

 東電は農民連の要求に応じて、東京の東電本社から担当者自ら長野県内の現地に出向き、損害の実態を把握することを約束しました。

(新聞「農民」2013.3.18付)
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2013年3月

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